2025年10月31日金曜日

「チーム未来」が考える少子化対策はどうなのか?

 チーム未来の代表である安野貴博氏が、「チーム未来が考える少子化対策」という表題でYouTubeで説明をしているのを見かけました。デジタル技術を駆使する安野氏の提案はどういうものか興味がありました。

動画の中で安野氏は、少子化の原因として「結婚数」と「(夫婦あたりの)子供数」の減少を挙げて説明しています。

結婚数が減少しているのは、(1)経済的理由、(2)価値観の変化

子供数が減少しているのは、(1)晩婚化、(2)経済的理由

という原因を挙げています。

これらの対策として、子育て減税、社会保険料の引き下げ、不妊治療を受けやすくすることなどを挙げています。しかし、これらの対策は取り立てて目新しいものではなく、突き詰めれば「子どもを増やすためには経済的な助けを行えば少子化は解決する」という考え方に基づいているように思います。

私は以前から申しておりますように、少子化対策は経済的な助けを行えば解決するというような単純なものではないと考えています。むしろ、現代社会のあり方に対し、人間が持つある種の(動物的とも言える)本能として、「これ以上子供を多く持つのはいけない」と無意識に反応しているのではないかと思うからです。

こういった少子化対策の話を聞くたびに考えるのは、対策を提案している方ご自身は、お子さんを何人ほど持っておられるのだろうか、ということです。もちろん、これは非常にデリケートな問題です。お子さんが少ない方でも、本当はたくさんの子供が欲しかった、あるいは欲しいと思っておられる方がたくさんおられるからです。ですから、お子さんが少ないというだけで少子化対策を議論する資格がないとは、全く思いません。

ただ、提案される対策がご自身の経験や実感に基づいているのか、それとも純粋に理論的なものなのかは、少し気になるところです。

そこで、チーム未来の代表である安野貴博氏ご自身はどうなのだろうかと(差し出がましいとは思いつつ)調べてみました。安野氏はご結婚されていますが、ご自身の考えとして「子供は持たない」と決めておられるようだ、ということが分かりました。

安野氏がどのような信条を持っておられるかはもちろん自由ですし、そのこと自体をどうこう言うつもりはありません。しかし、氏が提案されている経済的支援策は、主に「子供は欲しいが、経済的理由などで持てない」方々に向けられたものだと推察されます。

だとすれば、安野氏が挙げられた原因(2)の「価値観の変化」、つまり安野氏ご自身のように「子供を(積極的には)欲しない」という選択をする人々が増えていることに対するアプローチが、この提案からは抜け落ちているように感じます。

私はこの価値観の変化が、経済的な理由よりも、少子化に大きく影響していると考えるからです。

安野氏ご自身が「子供を持たない」という現在の考えを変えて、「子供が欲しい」と思えるようになるとしたら、それはどのような社会の変化や支援策が必要になるのでしょうか。

それこそが、経済的支援策と並んで、あるいはそれ以上に、これからの日本にとって本来の(そして、より本質的な)少子化対策と言えるのではないでしょうか。


2025年10月30日木曜日

【新聞の未来】毎日新聞の夕刊トップ記事に感じた違和感。購読者を増やすための提言

 最近、毎日の夕刊を広げるたびに、ある違和感を覚えます。

先日発行された夕刊の第1面をご覧ください。もちろん、日によって構成は異なりますが、この日のトップ記事は「ハンセン病 離れ離でも心は一つ」という内容でした。

ハンセン病に関する報道が社会的に重要であることは理解しています。しかし、そのすぐ左側の小さなスペースには「韓国の原潜」という国際的な安全保障に関する記事が、さらに小さな扱いとして「米中首脳会談」や「米FRBの利下げ」といった世界経済の動向を左右するニュースが掲載されていました。

新聞、とりわけ夕刊が「ニュース」を報じる媒体であると定義するならば、国際政治や経済の最重要ニュースよりも、人情的な側面が強い特集記事がトップに来る構成には、読者として強い違和感を抱かざるを得ません。

「新聞らしさ」を感じる他紙との比較

この違和感は、他紙の構成と比較するとより明確になります。

例えば、同日の日経新聞を見てみると、トップ記事は「米国の利下げ」、これに続いて「日銀の金利据え置き」、そして2番目の記事として「米中首脳会談」が並んでいました。こちらは、読者の生活や社会全体に与える影響の「重要性」と「速報性」を基準に記事の順位付けを行っており、極めて「新聞らしい」構成だと感じます。

もちろん、毎日新聞には長年培ってきた独自の編集方針があるでしょう。しかし、その方針が、現代の読者が新聞に求める「情報の価値」と乖離していないか、立ち止まって考えるべきではないでしょうか。

夕刊廃止と衰退への懸念

毎日新聞は、つい最近、大手新聞社と横並びの形で、土曜日の夕刊の発行を廃止しました。これは、購読者の減少に伴う採算性の悪化を改善するための、やむを得ない手段だったと推測します。

しかし、土曜夕刊の廃止のような「コスト削減」や「サービス縮小」の手段は、短期的な採算性を向上させることはできても、長期的には購読者の満足度を下げ、結果として新聞の衰退を加速させるだけではないでしょうか。

長年、毎日新聞を購読し続けてきた一読者として、このまま購読者が激減していく未来は避けたいと強く願っています。

購読者を増やすための効果的な方法

購読者を増やし、新聞という媒体の価値を維持していくために、今、毎日新聞(ひいては新聞業界全体)が取り組むべきは、「コストカット」ではなく「価値の再定義」です。

具体的には、以下の問いを徹底的に分析し、編集方針に反映させるべきです。

  1. 現在の購読層は新聞に何を求めているのか?(深掘りした分析記事、信頼性の高い解説、地域情報など)

  2. 「批判」を超えた建設的な視点の提示(単なる批判報道に終始せず、適切な評価具体的な改善策の提案を行うことで、読者の問題解決意識を高める)

  3. ネット社会の進展の中で、新聞にしか提供できない「情報の付加価値」とは何か?(速報性でなく、考察背景の深さ)

ネットで情報が瞬時に手に入る現代において、従来のままの方針を続けることは、衰退への道を歩むことを意味します。紙媒体ならではの編集力、視点の鋭さ、そして「これは読む価値がある」と読者に感じさせる構成力が、ネット社会を打開する鍵になるはずです。


2025年10月27日月曜日

2025年10月24日(金)付毎日新聞の毎日数独〔第5229回・上級〕の解き方

 10月24日(金)付の毎日新聞に掲載されている毎日数独の解き方を説明します。上級という表示がされているもので普段の級に比べると難しい問題です。



問題は上のようなものです。




とりあえず、簡単にわかるところだけを埋めてみます。以下のようになります。



これ以上は単純な考え方だけでは数字が埋められない。少し工夫してみる必要があります。


下の図を見てください。左側上段の9つの箱に注目します。この図で赤い直線で示した箱には「1」と「7」がその直線上にあります。従って、赤い四角で示した2つの箱のいずれかに、「1」もしくは「7」が入り、他の数は入りません。



これを利用すると、左側上段の9つの箱の一つに「5」が入ることがわかります。



それ以降も、難しいところもあると思いますが、じっくり考えれば解くことができると思います。頑張ってみて下さい。



2025年10月24日金曜日

議論の前提を問い直す:夫婦別姓問題と、昔からあった「男性が妻の姓を名乗る」選択

 夫婦別姓を巡る議論は以前から活発であり、最近では高市早苗首相の言動も含めて、再び注目を集めています。

私の記憶では、高市氏は以前から夫婦別姓に関する法案や制度改正について言及されており、その結果、いくつかの制度は実現しています。例えば、パスポートに旧姓を併記できるようになったのはその一例です。以前、当時の小泉進次郎大臣が旧姓併記の難しさに言及した際、高市氏がその時点で既にパスポートへの旧姓併記は可能になっていると指摘されていました。

議論の前提にある「夫の姓を名乗るべき」という誤解

夫婦別姓の議論の根底には、日本における家制度の考え方があります。歴史的に見て、「家」の永続性と財産継承が重要視されてきたため、そこから夫婦同姓、そして特に夫の姓を継ぐという慣習が強く根付いてきました。

しかし、この「結婚したら男性の苗字を当然名乗る」という前提は、日本の歴史的な現実を正確に捉えていません。

江戸時代以前の女性の姓や名前については、公的な記録にあまり残されていないケースもありますが、だからといって、常に夫の姓を継ぐことが当然だったわけではありません。むしろ、「婿入り」という言葉があるように、娘しかいない家や、家業の継承を重視する家では、婿を迎え、婿が妻の姓を名乗って家を継ぐことは、ごく当たり前に行われていました。

特に、大阪の船場(せんば)のような商業地では、息子がいても娘に優秀な婿を迎え入れ、家業を継承してもらうという慣習があったのは有名な話です。これは、家を継続し、商売を発展させるためには、血縁よりも能力を優先し、他家から優秀な人材を迎え入れる方が良いという、極めて合理的な判断に基づいています。

高市早苗氏の事例とメディアの矛盾

このように、姓の選択が必ずしも性別や伝統的な「男系」のルールに基づいていたわけではないにもかかわらず、今の夫婦別姓の議論は、大半が「夫の姓を当然名乗る」という前提で進められているように見えます。

高市早苗氏自身のエピソードも、この前提を問い直します。高市氏は、離婚した山本拓氏との再婚のときに、じゃんけんをして高市姓を名乗ることを決めたそうです。当時、元夫である山本拓氏は高市姓を名乗ることになったはずです。

それにもかかわらず、なぜか一部の新聞報道などでは、現在でも元夫が「山本拓氏」として表記されているのを見かけます。多くのオールドメディアは夫婦別姓を支持する論調でありながら、実際に男性側が女性側の姓を選択した事例に対して、このような曖昧な表現を使うのは、論理的な矛盾であり、問題提起すべき点だと考えます。

姓の選択は、歴史的に見ても、また現代の多様な生き方を考えても、性別に固定されるものではありません。今の議論を進めるにあたり、まず「男性が姓を継ぐのが当然」という誤った前提を捨て去り、姓の選択が個人の意思や家族の事情に基づいて行えるよう、制度を整備していくことが重要です。


2025年10月21日火曜日

GoogleのGemini(nano banana)の空間把握力を調べてみた

 Googleから最近発表された画像生成AIの進化が話題になっています。そこで、本記事では、Googleの生成AIモデル「Gemini」の画像処理能力の一つである「空間把握力」に焦点を当てて検証してみました。


1.ビル街の写真を上空写真へ変換



「この写真使って、上空から撮った写真を作成してください。」とお願いしてみました。作成された写真は次のものです。



作成された上空からの写真は、元の写真の構造を保ちつつ、俯瞰的な視点で見事に再現されていました。


次に、別のビル街の写真を使って同じ依頼をしてみました。元の写真と上から見た写真です。




どちらの結果も、非常に完成度が高いと感じます。しかし、これらの写真は、AIが写真の撮影場所を特定し、Googleマップなどの衛星写真を参考に生成している可能性も否定できません。AIが純粋に元の2D画像から3D的な空間を把握したのか、学習データや検索情報を利用したのか、この時点では判断が難しいところです。


そこで、別の種類の写真を使ってみました。「馬の像」の写真です。



「この写真を反対側から撮った写真を作成してください。」とお願いしてみました。



残念ながら、反対側から撮った写真ではなく。馬の像が反転している写真になってしまいました。依頼の仕方が悪かったのかも知れません。


次に、同じ写真で「斜め上から撮った写真を作成してください。」とお願いしてみました。



作成された写真は、像の立体感が保たれ、影などもリアルに表現されており、非常に質の高いものでした。


しかし、この馬の像の写真もネット上で検索すれば見つかる写真であり、AIがネット上の類似写真や、同じ像の別アングルのデータを参照して生成した可能性が残ります。


今回はnano bananaの空間把握能力を調べてみました。ネット内に参考になる画像があると良いものを作成してくれるようですが、そういうデータがない場合にはまだまだ能力不足と思われます。


とは言え、nano banana の空間把握能力は確実に進化しており、今後さらに進化していくことが期待されます。




2025年10月20日月曜日

昔の写真をもとにクリスマスカードをGeminiで作ってみた

 Geminiの機能の中に、新しく発表されたnano bananaという画像処理の機能があります。これを使って、昔の写真からクリスマスカードを作成してみました。

ステップ1:元の写真とカラー化

まず、もとになる写真はこちらです。 

白黒写真だったので、手始めにカラー化を依頼しました。 

ステップ2:サンタクロースの衣装を追加

次に、「この画像でサンタクロースの服を着ているようにしてください。」と依頼しました。 

ステップ3:背景の変更とカード化

さらに、「背景をクリスマスらしい風景にしてください。」と指示しました。一気に雰囲気が変わりましたね。 

この画像をもとに、「クリスマスカードを作成してください。文字として、英語で『Merry Christmas』というのを入れてください。」と頼んでみた結果がこちらです。 

ステップ4:横長カードへの挑戦と課題

縦長よりも横長のカードの方が良いかなと考え、「背景などを追加して横長のクリスマスカードにしてください。」と再依頼してみました。

横長の画像は生成されたのですが、元の縦長の画像がそのまま後ろに合成されてしまうという結果になりました。これ以降、何度か訂正を頼んでみたのですが、意図した通りの横長カードを作成することはできませんでした。

まとめ

結果的に完璧な横長カードはできませんでしたが、数ステップで古い写真をカラー化し、衣装を着せ、背景を変え、メッセージを入れるところまでは非常に簡単に実現できました。

AIの画像編集機能を使えば、アイデア次第でユニークなグリーティングカードが手軽に作れることがよくわかりました。皆さんの制作の参考になれば幸いです。


議員定数の数字の設定はどうすればいいか? 効率的な議会運営のための考察

 政治改革の議論が活発化する中で、国会議員の定数削減を巡る議論が再び注目を集めています。日本維新の会などが提案する定数削減は、実際に大阪府や大阪市の議会で実現されており、その流れを国会にも適用すべきだという主張です。

この定数削減の動きに対して、チーム未来代表の安野貴博氏がX(旧Twitter)で反論しています。

安野氏は【議員定数削減のデメリット】という見出しのもと、定数削減は政治の新陳代謝を悪化させ、むしろ議会への信頼度を落とす可能性があると指摘し、以下の3点を主な理由として挙げています。

  1. 国会議員の新陳代謝がより悪化する

  2. 諸外国と比較して日本は国会議員の数がそもそも少ない

  3. 定数削減によって得られるコストメリットは限定的

(詳細は安野氏のXをご覧ください。)デジタルに精通した安野氏らしい、データに基づいた合理的な意見です。

必要なのは「仕事量」に基づく突っ込んだ分析

安野氏の指摘は重要ですが、私としては、この議論を一歩進めた「適正値」を求める分析が必要ではないかと感じました。

例えば、「新陳代謝の悪化」という点について考えてみましょう。議員数が減少すると新規参入の可能性が減ると推測されますが、具体的に「どのくらいの人数」まで減らすと、「どの程度」新陳代謝が悪化するのか、その具体的な数値的根拠がまだ見えてきません。

また、「諸外国との比較」についても同様です。他国がその議員数を「どのような理由」で決定しているのか、つまり、単に人口比なのか、それとも議会や行政をチェックするために必要な「職務量」を根拠にしているのかが不明確です。

もし「コスト削減」のみが目的であれば、確かに人数を減らせば良いのですが、本来の目的は「最も効率的で機能する議会」を作ることにあるはずです。

議員数の「適正値」を決めるために検討すべき要素

議員定数の適正値を検討するためには、感情論や単純なコスト論ではなく、まず議員の**「仕事」を数値化**し、科学的に議論を進めるべきではないでしょうか。

具体的に、以下の要素を検討し、定量化する必要があります。

  1. 議会運営に必要な職務量: 各議員が委員会活動や法案審議、行政監視のために行っている仕事の内容と、それに必要な専門人材(秘書・スタッフ含む)の人数。

  2. 地域代表の効率性: 選挙区の有権者の意見を効率的に吸い上げ、それを国会に反映させるために、議員一人あたりが担当できる限界人数はどのくらいか。

  3. 地方議会との役割分担: 県議会などの地方議会との役割の違いを明確にし、国会としての機能(外交・安全保障など)を十全に果たすために必要な人数。

  4. 新陳代謝の維持ライン: 若手や新規の政治家が参入し、政治に新しい風を送り込むために、最低限維持すべき定数。

これらの要素をデータに基づき多角的に分析することで、「最も効率的に議会運営ができる人数」という適正な数字を導き出すことができるのではないでしょうか。


「チーム未来」が考える少子化対策はどうなのか?

 チーム未来の代表である安野貴博氏が、「チーム未来が考える少子化対策」という表題でYouTubeで説明をしているのを見かけました。デジタル技術を駆使する安野氏の提案はどういうものか興味がありました。 動画の中で安野氏は、少子化の原因として「結婚数」と「(夫婦あたりの)子供数」の減...