トランプ米国大統領は、イランとの停戦延長を表明しました。新たな期限は明示せず、「協議の結論が出るまで」停戦を続けるという方針です。
現在、この情勢については入ってくる情報が限られており、「どちらが優勢なのか」が見えにくい状態が続いています。
専門家によって分かれる「優勢」の判断
日本国内でも、専門家によって見解は真っ二つに分かれています。
米国優勢派: 上念司氏や高橋洋一氏などは、圧倒的な軍事力と経済制裁の網を根拠に、米国が主導権を握っているという見方を示されています。
イラン有利派: 一方で、田中浩一郎氏や宮田律氏などは、イランのネットワークや「抵抗の軸」としての粘り強さを評価しています。
それぞれが「軍事」「経済」「政治」のどの指標を重視するかで評価が分かれているのが現状です。
現状を読み解く鍵:齊藤貢氏による5つの分析
こうした中、私は元駐イラン大使・齊藤貢氏の分析が、現状のパワーバランスを最も的確に捉えているのではないかと感じています。齊藤氏は以下の5つのポイントから、米・イ・中の三つ巴の攻防を解説しています。
トランプ大統領の「本音」はガソリン価格にあり
延長の背景には、米国内のガソリン価格への強い執着があります。軍事行動による原油価格(WTI)の急騰は、大統領が最も避けたい事態であり、それが慎重な判断につながっています。イランが協議を拒む「歴史的背景」
イランには「外圧に屈することを極端に嫌う」国民性があります。海上封鎖という圧力を受けたままの交渉は、国内世論が許さないため、第2回協議の拒否は必然と言えます。「内部対立」説はトランプ氏の責任転嫁か
「イラン体制の分裂」が報じられていますが、これは強硬派と穏健派による「生存戦略上の健全な議論」に過ぎません。トランプ氏が自身の停戦の正当化のために分裂を強調している側面があります。掃海艦の到着で始まる「イタチごっこ作戦」
米軍の掃海艦がペルシャ湾に到着すれば、トランプ氏は再び強気に転じるでしょう。対するイランは、正面衝突を避けつつ「米軍が除去したそばから機雷を撒く」という消耗戦(イタチごっこ作戦)で対抗すると予測されます。キャスティングボードを握る「中国」の影
中国は石油消費の約50%をホルムズ海峡に依存しています。米中首脳会談において、中国が「エネルギーの安定供給」を条件に米国へ海上封鎖の緩和を迫る可能性があり、これが情勢を大きく変えるかもしれません。
私の考察:情勢は「泥沼化」と「イランの粘り」へ
齊藤氏の分析を紐解くと、現状では米国もイランも決定打を欠いていますが、時間的な余裕や戦略の柔軟性において、わずかにイラン側に分があるように感じられます。
特に、齊藤氏が指摘する「中国の関与」が本格化すれば、情勢はさらにイラン側に傾くのではないでしょうか。米国の覇権が揺らぐ中で、中国という巨大な「買い手」の論理が無視できなくなっているからです。
いずれにしても、この問題が早期に解決する兆しは見えません。予想以上に解決は遅れ、長期的な「泥沼化」へと向かっていく可能性を危惧しています。












