2019年12月2日月曜日

初めてのJR「大回り乗車」:紅葉が綺麗

「大回り乗車」というのは、東京や大阪など大都市近郊区間内であれば、一定の条件を満たせば、乗車した経路には関係なく、改札を入った駅と改札を出た駅の最も安い経路の運賃で乗車できるというものだ。

この一定の条件というのが、(1)普通乗車券か回数券を使う(2)重複しない限り乗車経路は自由に選択できる(3)途中下車しない(4)乗車区間は大都市近郊区間内である(5)発駅問着駅は異なるという条件である。

この特例については、JR東日本のサイトに説明が出ている。
https://www.jreast.co.jp/kippu/1103.html

この「大回り乗車」は乗車経路を重複しないという条件があることから、一筆書き乗車とよぶこともある。普通一筆書きは先が交差しても良いのだが、この大回り乗車では線が交差するのもだめな一筆書きである。

以前から、この一筆書き乗車があることは知っていたのだが、あまり興味がわかなかったこともあり、時間も無駄に思えて、やってみたことがなかった。

最近、鉄道に興味を持つ孫ができたこともあり、孫を時間をかけて遊ばせるには実に安価なやり方に思えてきた。今回は孫は連れてこなかったが、その下見の意味もある。

ネットで調べてみると、いくつか大回り乗車の例が出ており、それに従って乗ってみるというのもあった。しかし、まず手頃なところでやってみようかと考えたので、以下のような経路を考えた。


実家の近くの摂津本山を起点にして、加古川に回り、谷川、尼崎、そして芦屋に帰ってくるというルートである。上の鉄道路線図を見ると、割と簡単に回ってこれそうなルートだ。参考になったのは、日経新聞の『JR「大回り乗車」 切符200円で関西巡る748キロの旅』という記事である。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48720300Z10C19A8AA1P00/

この記事では、塚口からスタートして、谷川、加古川、尼崎、そしてそれ以降大阪、京都、滋賀、三重、奈良、和歌山と回るものである。このうち、すべてを回るのは大変なので最初の部分だけを回ろうと考えた。

最初、摂津本山から西に向かい、加古川、そして谷川、尼崎と回って、芦屋に帰ってくる計画を考えていた。ちょうど、日経新聞の案の最初の部分とは逆まわりのコースである。実行するのは12月1日(日)。

これを10時頃に出発で検討を開始してみた。ところが、実際に「駅前探検倶楽部」のサイトで電車の発車時間、到着時間を確認し始めたところ、問題が発生した。これをやらないで、でかけていたら、大変な時間のロスになっていたはずで、事前に確認するのは大切なことが判明した。

何が問題かというと、経路の接続駅である加古川、そして谷川で列車の接続はあまりにも悪すぎるのだ。加古川から9:11に出る列車に乗らないと、それ以降接続の良い列車がない。谷川の到着がお昼すぎになってしまう。
ひょっとして、日経新聞の案のように動いてみるとどうだろうかと考えて、調べてみると、こちらの案は実に接続が良くて、接続駅での待ち時間が少ない。そこで以下のような案で大回り乗車を実行することにした。

摂津本山(10:09)→(10:22)尼崎(10:28)→篠山口→(11:47)谷川(12:10)→西脇→(13:31)加古川(13:37)→(14:24)住吉

実際にはJR西日本の列車の遅れがよく発生することを考えて、摂津本山を10時ちょうどの列車に乗った。最初から工程が躓いてしまってはなんにもならない。

摂津本山から尼崎は乗り慣れた路線で、取り立てて報告することはない。尼崎から谷川は久しぶりの路線だ。さらに言うなら、普通は阪急で岡本から宝塚に出て、そこから福知山線に乗るルートを普通はとっている。だから、尼崎から宝塚までは滅多に乗らない。途中、伊丹あたりを通過すると、上空近くを旅客機が上昇していくのを眺めた。普段見るよりも大きな機体が見える。

宝塚手前くらいから、周りの山々が色づいており、その紅葉を長時間楽しむことができた。特に丹波地方に入ると彩りも冴えてくる。この景色を見ただけでも、この大回り乗車の価値があったというものだ。



福知山線の途中、篠山口で快速は終わり、それ以降は普通電車に乗り換えである。そこから、谷川まで乗っていく。この普通電車はワンマンカーで、駅によっては電車の先頭まで行って、車掌さんに切符を渡さないと電車を降りられない仕組みになっている。放送が盛んにされるので、谷川でも先頭の車両まで行かないといけないかと心配させられた。さらに、篠山口以降の駅ではSuicaなどのカードが使えない。篠山口でいったんカードでの支払いを済ませて、切符を買って乗らないといけないようだ。

幸いなことに谷川駅ではすべてのドアが相手、どの列車からでも降りられるようになっていた。まあ、谷川駅は接続駅だからそうでなければならない。

谷川駅で西脇行きの電車がすでに待っているのだが、トイレに行きたくなった。駅の中にはないので、駅の外に出してもらい、近くのトイレで用を足す。西脇行きの電車の待ち時間は十分にあるので、ゆっくりとできる。

谷川駅から乗った中学生1年くらいの男の子が、しきりに途中の駅名を写真に撮っている。私は、それほどではないが、接続駅など自分が乗ってきた経路がわかる駅は写真に撮った。ひょっとして車掌さんに切符を確認されることがあったら、その写真を見せればいいと考えたからだ。


西脇に到着すると、加古川行きの電車が待っている。それにくだんの少年も乗ってきた。加古川行きの電車でも相変わらず、途中の案内や駅名を一生懸命撮っている。

この谷川、加古川間は福知山線に比べると紅葉はそれほどでもなかった。のどかな田園風景が広がっている。加古川に近づくにつれて、家並みが混んできた。山の中から町中に出てきたという感じである。



加古川駅を降りると、山陽本線の駅の方に行くのにどのように行ったら良いか戸惑った。行くのに改札を通過しないといけない。利用している人は、改札で長い列を作っている。どうも切符の確認をしているようだ。SuicaやICOCAなどのカードで通れるはずなのだが、どうなっているのかよくわからなかった。例の鉄道少年が私の後ろについてきている。私はきっぷを見せながら大回り乗車をしていると説明したら、駅員は簡単に通してくれた。後ろについてきていた少年も同じ説明をしていた。彼も大回り乗車をやっているのだ。ふたりともそれに気づいてニコッと挨拶。

加古川からは本来の予定では、新快速に乗って帰るはずだったが、改札で手間取ったためにその列車に遅れてしまった。仕方がないので、止まっていた普通に乗ったが、これが西明石駅から快速になるというので、そのままずっと住吉駅まで乗っていくことにして、途中の景色をゆっくり楽しむことにした。


上の写真が私が使用した切符である。住吉駅で自動改札に入れたらなんの問題もなく改札を通ることができた。

その後、住吉駅から摂津本山まで、Suicaを使用して通過した。結局、摂津本山と住吉の間を往復したことになる。往復合計260円だ。

朝の10時から昼過ぎの15時まで、5時間の長い旅だった。たった260円で随分楽しい思いをさせてもらった。途中の丹波地方の紅葉は列車からよく見えて、それが長い時間続いたので圧巻だった。こういう旅ならまたやってもいいかなと感じた。事前に十分列車のダイヤを確かめて、計画をねっていく必要があるが。

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