2019年6月7日金曜日

『「戦後」の墓碑銘』を読んで

白井 聡の著書、『「戦後」の墓碑銘』を読んだ。

もう、5年ほど前に発行された本なので、少し読むのにはおそすぎた感はするが、それでも読む価値はある本である。特に若い人に読んでもらいたい。

現在の安倍政権に対するいろいろの問題点が明らかになっている。ただ、白井氏が予言したようにはならず、安倍政権は未だに安泰で続いている。むしろ、支持率は最近の読売の調査によれば60%を超えているというから、おかしなものだ。

誰かのTwitterでもこの60%の支持率に関しては、おかしいという話が出ていた。私もこれほどいろいろのことで安倍政権は問題の行動をしているのに、支持率がこんなに高いのはおかしいのではないかと思った。しかし、これが現在の国民全体の意志なのかも知れない。

こういう支持率が出てくるというのも、この本の中身を読むと何となくそうなる可能性もあるなと思える。第二次世界大戦に負けても、福島の原発が重大な事故を起こしても、国全体としての、そして国民の考え方は変化していないのだ。

第二次世界大戦で負けても、敗戦とは呼ばず、終戦と呼ぶことにして、負けたことを否定する操作が行われているが、それはその操作が国民全体の大部分からしても、気持ちの良い考え方であるから、受け入れられているわけである。まあ、負けた原因など考えるのは嫌なものだ。しかし、品質問題の観点からすると失敗から学ぶことはたくさんあるわけで、それをやらないとまた同じ失敗を繰り返す。

敗戦となった原因などの追求は一部では行われたが、国全体として行われたということはない。しかも、そういう政府の方針を問題だと指摘する人がいても、ほとんどの人は無視してしまっている。負けたのは負けたので、それを今更とやかく言っても仕方がないだろうという風潮である。

非常に沢山の国民があの戦争でなくなった。それも虫けらのように死んでいった。それよりももったひどくて、是が非でも自分が戦争に出かけて日本を救わないといけないと言って、出かけて行き、自身を賭して死んでいった英霊がなんと多いことか。彼らの死を無駄にしないという話があるが、現実には数多くの人が無駄死にをしたのだ。著書の中にもあるが、ポツダム宣言を受け入れるのに何ヶ月もかかり、その間にそれまで以上の人たちが殺された。これを直視しないでどうするのか。

この流れが、いまの時代にも現れている。政府の行動に問題があるのにもかかわらず、みんなが良いと言っているのだから良いだろうとか、前の民主党政権の体たらくを見ていると、それよりも良いからと現状を受け入れてしまっている。

安倍政権の福島原発事故に対する対応とか、日銀と手を組んだ経済政策など、問題は山積しているのだが、支持率を見てみると全く問題になっていないと考えられる。

戦前は天皇陛下のご意見に従うというのがパターンだったのだが、それが戦後は米国のご意向mに従うという形になっただけで、全く変わっていない。この話は白井氏が言っているだけでなく、昔から言われていたことだ。そして今もそれが続いている。今でも、米国に占領されているのと全く変わらない状況である。米軍の意向に沿わないものは実行することができないし、実行しようとしたものは殺される。この認識をきちんと日本国民が持たないと、だめではないかと思う。

本の中ではTPPなども問題の施策としているが、私はTPPはやはり今後の日本が成長していく上では大変大事な施策だったと思う。米国抜きでTPP11という形でまとまったが、それの方が米国が入っているよりもむしろ日本にとってはいい形ではないかと思うこともある。

いずれにせよ、この本は一度は目を通しておいても悪くない本だと思う。その意見をどういう具合に判断するかはその人それぞれだと思うが。


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