2026年7月10日金曜日

世界が絶賛する「アバンギャルディ」に学ぶ、妥協なきブランディングと経営戦略

 皆さんは、今世界中で大きな話題を呼んでいるダンスチーム「アバンギャルディ(Avantgardey)」をご存知でしょうか? おかっぱ頭に昭和レトロな学校制服という、これまでのエンタメ界の常識を覆すようなユニークな出で立ちで、一糸乱れぬ超高速ダンスを繰り出すあの集団です。


先日、アバンギャルディを率いる振付師のakane氏が、YouTube番組『ながら見チャンネル』に出演している対談動画を視聴しました。


お酒を交えたカジュアルなトーク形式でしたが、akane氏が語る徹底した「完璧主義」と、それに基づく戦略的なブランド構築の話は、単なるエンタメの枠を超えた「極めて高度な経営・組織戦略」そのものでした。


akane氏は、母校である登美丘高校ダンス部のコーチとしてあの伝説的な「バブリーダンス」を世に送り出し、一躍有名になりました。その後、2020年に同部のコーチを引退した後にアバンギャルディを結成。彼女たちのダンス動画がTikTokなどのSNSで世界的なバズを起こし、それを見たアメリカの超人気オーディション番組「アメリカズ・ゴット・タレント(AGT)」のプロデューサーから直接オファーを受けて出演したことで、世界中から喝采を浴びる存在となりました。

この動画を通じて私が最も驚かされた、akane氏の「徹底したこだわりと組織戦略」を4つのポイントに分けてご紹介します。

1. スチール写真撮影にみる「1cmの狂いも許さない」こだわり

ヘアケアブランドのイメージキャラクターとして行われたスチール撮影の現場でのことです

。わずか2枚のグラフィック写真を撮影するために、16名のメンバーに対してなんと45分間もの時間が費やされました。 

シャンプーボトルの保持角度、手の高さ、スカートの裾の広がりまで、akane氏は自ら現場を走り回り、ミリ単位(まさに「1cmの狂い」)の調整を繰り返したのです。

「今ってAIで何でも作れるけど、私たちはリアルにこれ(完璧なシンクロ)が作れるっていうのを目指してやってます」

このこだわりは、単なる精神論ではありません。デジタル技術で何でも作れる時代だからこそ、あえて生身の肉体表現による「アナログな極限の精度」を追求する。これこそが、アバンギャルディというブランドの真似できない市場価値を高めているのです。

2. 人間らしさを削ぎ落とす「瞬き禁止」のルール

アバンギャルディのパフォーマンスが放つ、あの「不気味さと美しさが共存する世界観」を支えているのが、パフォーマンス中の「瞬き(まばたき)禁止」という徹底したルールです。 

人形のような機械的な動きを見せる中で、一瞬でも人間らしい「瞬き」をしてしまうと、観客は現実に引き戻されてしまいます。あえて「人間らしさ」を徹底的に削ぎ落とすビジュアルコントロールを行うことで、観客に強烈な違和感(不気味の谷)を与え、一瞬で目を離せなくさせているのです。

3. 個性は「徹底的な型」の先にしか存在しない

アバンギャルディのメンバーは、1日に10時間もの猛特訓を重ねています。

「個性を尊重する」という現代的な見守り型のアプローチとは真逆の、「徹底的な型(詰め込み)」が彼女たちのクオリティを支えています。 

対談の中でも、キャストの経営者たちと「個性は詰め込んだ後にしか出ない」という強い信念が交わされていました。徹底的に基礎やルールを叩き込み、限界までやり切った先にこそ、本当の個性や主体性がにじみ出てくるという哲学は、あらゆるビジネスや人材育成にも通ずる本質です。

4. 観客の目に均一な「クローン」として見せる緻密な補正

メンバーの身長は153cmから165cm超まで、実際には10cm以上の開きがあります。体型も柔軟性も本来はバラバラです。しかし、観客の目には完全に均一な「クローン」のように映るよう、緻密な計算が施されています。

 一人ひとりの顔のサイズや首の長さに合わせ、おかっぱ頭の髪の長さをミリ単位で個別に調整。さらに、手を広げたときにラインが美しく揃うようにデザインされた制服を着用させることで、個体差を視覚的にカバーしているのです。

おわりに

これら全てのこだわりは、単にダンスを綺麗に見せるための技術ではありません。アバンギャルディという唯一無二の「ブランド価値を守り抜くためのアルゴリズム」なのです。

「理由を求める前に、まず言われたことを問答無用で徹底的にやり抜く」という強固な実行力も含め、この妥協なき姿勢は、エンターテインメントの世界だけでなく、私たちがビジネスやチームで「独自の価値」を築き上げていく上でも、極めて重要なヒントを与えてくれているのではないでしょうか。



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