2025年7月3日木曜日

エマニュエル・トッドが予見するアメリカの行方:『西欧の敗北』を読んで

 先日、エマニュエル・トッド氏の著書『西欧の敗北』を読みました。この本では、米国と欧州が様々なデータに基づいて衰退の一途を辿っていることが示されており、非常に衝撃を受けました。


本書は2024年11月の発行ですが、執筆されたのはトランプ前大統領が再選を果たす前だと推測されます。しかし、最近のトランプ氏の動向を見ていると、まるでこの本に書かれている内容をなぞるように動いているのではないかとさえ感じられます。


特に、彼の掲げる関税政策、移民政策、そしてウクライナ戦争への介入における姿勢は、その典型と言えるでしょう。


経済力の陰りを示す関税政策

トランプ氏が推進する関税政策は、米国内での製造業の衰退に対する対抗策として捉えられます。例えば、米国では現在、造船業が衰退し、軍艦すら自国で建造できない状況にあると指摘されています。自動車産業においても、海外勢に押され、輸出競争力を失いつつあります。高い関税を課すことで国内生産を有利にし、米国の製造業を立て直そうとする意図が伺えます。これは、かつて世界をリードした製造業大国アメリカの影が薄れつつある現状を浮き彫りにしています。


許容量を超えた移民流入

移民政策に関しても、かつては米国内の人口増加に不可欠とされていましたが、現在の急激な移民増加は、米国がその受け入れ能力を超えてしまっていることを示唆しています。際限のない移民の流入は、米国の国力をむしろ弱体化させてしまいかねない状況にあるのかもしれません。


世界の警察官からの転換

ウクライナ戦争への介入姿勢は、米国がもはや世界の軍事力の支配者ではないことを如実に示しています。世界各地で紛争が勃発するたびに米軍が介入し、事態を収拾するという「世界の警察官」としての時代は終わりを告げたようです。莫大な戦費を賄うだけの経済力が、もはや米国にはないのかもしれません。


ドル基軸通貨体制の揺らぎ

これらの状況が続けば、これまで世界の基軸通貨として揺るぎない地位を築いてきた米ドルが、その座から転落する可能性も出てきます。最近の米国債の利回り悪化は、その兆候の一つと見ることができるでしょう。


トッド氏が指摘する「西欧の敗北」は、もはや単なる「敗北」ではなく、**「没落」**の始まりと捉えるべき時期に来ているのかもしれません。



コロナを巡る動き:情報の検証と今後の展望

 米国での変化

米国では、ドナルド・トランプ大統領が厚生長官に「ワクチン懐疑派」とされるロバート・F・ケネディ・ジュニア氏を指名したことで、これまでのコロナ対策に変化が見られます。例えば、パンデミック時に販売が制限されていたイベルメクチンが、多くの州で薬局で購入できるようになっています。

また、トランプ大統領は、WHO(世界保健機関)のコロナ対策に対する不満から、大統領就任初日の20日にWHOからの脱退を表明し、大統領令に署名しました。

日本における変化の兆し

米国での動きに呼応するように、最近では日本でも、厚生労働省や、コロナ対策の中心人物であった尾身茂氏から、当時の発言とは異なる見解が聞かれるようになっています。

新型コロナ対策の「顔」とも言われた尾身茂氏は、2025年6月8日に放送されたテレビ番組「そこまで言って委員会NP」で、コロナワクチンの有効性について問われました。その際、「私見を申し上げると、まず有効だったかどうかという話を結論から言うと、感染防止効果、感染を防ぐ効果は残念ながらあまりないワクチンです」と明言。「ワクチンを接種したら絶対に感染しないという保証はないし、実際に感染した人がいる」と説明しました。

さらに、2025年7月1日には、厚生労働省の福岡大臣が記者会見で、妊婦に対する新型コロナワクチンの接種を「推奨していない」と発表しました。

今後の情報開示と検証

当時、コロナワクチンを推進した人々からは、「あの当時は、ワクチン以外にコロナを防止する有効な手段はなかった」という意見も聞かれるようです。しかし、この主張の真偽には疑問が残る部分もあります。また、仮に他に手段がなかったとしても、「防止のためには虚偽の情報を提供しても良いのか」という倫理的な問題も提起されるでしょう。

今後、コロナワクチンに関連する情報については、より一層の事実解明が進むと考えられます。当時の判断や情報発信の妥当性について、さまざまな角度からの検証が求められるでしょう。


2025年6月28日土曜日

地球温暖化を巡る議論:本当に炭酸ガスが元凶なのか?

 連日厳しい暑さが続いています。九州では既に梅雨明けが発表され、いよいよ本格的な夏の到来を告げています。こうした季節の変わり目に、私たちの暮らしと密接に関わる『気候変動対策』について改めて考えさせられます。


現在、地球温暖化の主要因として、温室効果ガス、特に二酸化炭素(CO2)の排出量増加が世界的なコンセンサスとなっています。


しかしながら、米国ではトランプ政権下において、地球温暖化対策に消極的な姿勢がとられ、パリ協定からの離脱も実行されました。


私は、温室効果ガスが気温上昇の主因であるという世界的学者の結論に対し、一抹の疑問を抱いています。


私自身が直接論文を精読したわけではないため、その結論を断定的に否定することはできません。世界的な権威を持つ学者が導き出した結論である以上、一定の説得力があることは理解しています。


しかし、気候変動という途方もなく複雑なテーマにおいて、温室効果ガスのみに原因を帰結させることには、性急さを感じざるを得ません。なぜなら、気候変動には太陽活動、火山の噴火、海洋循環など多岐にわたる自然要因が絡み合い、それら膨大なデータを網羅的に収集し、緻密に分析することは極めて困難だからです。もし、結論が『60%程度の確度で正しい』といった表現であれば、私自身ももう少し納得できたかもしれません。


専門家が早期に原因を特定し、その結論に基づいて対策を急ぐ必要があるという、ある種の焦燥感から、そうした結論が導き出されてきたようにも感じられます。


そもそも、現状を見てみると、主要な二酸化炭素排出国である中国、米国、インド、ロシアの4カ国は、排出量全体の約60%を占めているにもかかわらず、抜本的な対策には至っていないのが実情です。パリ協定が締結されているにもかかわらず、この現状には失望を禁じえません。


二酸化炭素排出削減のため、電気自動車の普及、風力・太陽光発電の導入など、様々な取り組みが進められていますが、現時点では劇的な効果を実感できるほどには至っていません。もし目に見えて排出量が減少していれば、間違いなく大々的に報じられるはずです。


仮に二酸化炭素排出量を真に大幅に削減しようとすれば、自動車や航空機の利用を全面的に停止し、冷暖房の使用も極力控えるといった、私たちの生活様式を根底から変えるような措置が必要になるでしょう。


しかしながら、こうした対策は現実的とは言えず、実行される可能性は極めて低いと言わざるを得ません。


結局のところ、二酸化炭素による地球温暖化の仮説が正しいか否かにかかわらず、現状の排出量は今後も増え続けていく可能性が高いと言えるでしょう。そして、まさに『ゆでガエル』の状況のように、手遅れとなって初めて、私たちは真剣な対策へと重い腰を上げることになるのかもしれません。




2025年6月29日(日)付毎日新聞の辛口数独の解き方

 6月29日(日)付の毎日新聞に掲載されている辛口数独の解き方を説明します。唐辛子のマークが5つついており、たいへん難しい問題という表示になっています。



問題は上のようなものです。




とりあえず、簡単にわかるところだけを埋めてみます。以下のようになります。



これ以上は単純な考え方だけでは数字が埋められない。少し工夫してみる必要があります。


ここで下の図を見て下さい。左側下段の9つの箱に注目します。この図で2つの赤い直線で示した部分には「2」がその直線上にあります。従って、赤い丸で示した2つの箱のいずれかに、「2」が入ります。



さらに下の図を見てください。左側中段の9つの箱に注目します。この図で2つの赤い直線で示した部分には「2」と「8」がその直線上にあります。従って、赤い四角で示した2つの箱のいずれかに、「2」もしくは「8」が入り、他の数は入りません。



更に、これらを示した下の図を見てください。まず、緑のまるで示した箱ですが、この箱の縦と横、及び左側中段にある数字を見てみると、ここに「3」が入ることがわかります。




次に、緑の四角で示した箱ですが、この箱の縦と横、及び左側上段にある数字を見てみると、ここに「9」が入ることがわかります。


それ以降も、難しいところもあると思いますが、じっくり考えれば解くことができると思います。

頑張ってみて下さい。




2025年6月27日金曜日

死刑執行について考える

 昨日、6月27日午前、神奈川県座間市で男女9人の殺害などの罪に問われ、死刑が確定していた白石隆浩死刑囚の刑が執行されました。

このニュースに接し、妻が私に問いかけました。「この刑を執行する方は、一体どのような気持ちで臨むのだろうね?」と。

具体的に、刑の執行には3名が同時にボタンを押し、そのうち誰のボタンが実際に刑を執行したのかは特定できない仕組みになっていると聞いたことがあります。現在もこの方法が取られているのかは定かではありませんが、いずれにせよ、誰かがその役割を担っていることに変わりはありません。その方の心境を想像すると、なんとも言えない複雑な感情が湧き上がってきます。私自身は、そのような役割を拝命することは到底できません。

皆さんはこの件について、どのように思われますか?被害に遭われた方々の代わりに、加害者である彼を処するのだという強い意思を持って、執行のボタンを押すことができるでしょうか?

私たちほとんどの人間は、人が殺される場面に立ち会った経験がありません。人間でなくとも、動物の命が奪われる瞬間を目にしたことのある人も少ないのではないでしょうか。私自身は、過去にヘビを殺したことや、父が飼っていた鶏を絞めて命を絶つのを見た経験があります。また、生きたウナギが調理される様子を見たこともあります。しかし、これらは50年以上も昔の出来事です。

人間は生まれながらにして、生き物を殺すことに本能的な嫌悪感を抱くのかもしれません。

だからこそ、死刑廃止という議論が度々浮上するのでしょう。根源には、上で述べたような生命への嫌悪感が横たわっているのかもしれません。

ただ、死刑廃止の是非を判断するのは、生きている側の人間です。残念ながら、殺された側の人々の意見は、もはや聞くことはできません。命を奪われてしまっている以上、これは致し方ないことと言えるでしょう。

しかし、もし殺された方々の意思を推し量ることができるならば、彼らは殺した人間に対し、報復を望むのではないでしょうか?

この点については、たとえ生きている私たちが、どれほど言葉を尽くしても、犠牲者の真の思いを完全に代弁することはできないのかもしれません。



2025年6月24日火曜日

プロ野球交流戦:パ・リーグが上位独占!

 毎日新聞のプロ野球欄で、プロ野球交流戦の勝敗表を見て驚きました。



なんと、上位をパ・リーグの球団が独占しているではありませんか!


YouTubeで「パ・リーグ上位独占!セ・パ交流戦2025振り返り」という動画があり、そちらを見ると交流戦の推移が非常によく分かります。


https://www.youtube.com/watch?v=djNm_LbHYVE&t=12s


この動画によると、パ・リーグ全球団が勝率5割以上を記録しているのに対し、セ・リーグ全球団は5割以下と、まさに完敗という結果でした。


この結果にもかかわらず、興味深いことに、パ・リーグもセ・リーグもそれぞれのリーグ内順位には大きな変動が見られなかったようです。


かつて巨人軍が華やかなりし頃には、全く考えられなかったことだと思います。以前から「人気のセ・リーグ、実力のパ・リーグ」という言葉はありましたが、今回の交流戦は、その言葉をまざまざと見せつける結果となりました。


しかし、不思議に思うのは、ドラフト制度が導入されてから長い年月が経っているにもかかわらず、各球団の実力にこれほどの差が生じるとは考えにくいことです。なぜ、このような結果が出てくるのでしょうか。


もしかすると、パ・リーグとセ・リーグでは、球団や選手の育成方法に大きな違いがあるのかもしれません。




イランとイスラエルの「停戦合意」に思うこと

 トランプ米大統領が23日、「交戦中のイスラエルとイランが『完全かつ全面的に停戦することで合意した』と自身の交流サイト(SNS)に投稿した」という情報に接しました。


突然の合意との報に、私自身は「なぜこれほど早く停戦に至ったのか?」と不思議に感じざるを得ません。しかし、主要なメディアでは、この点について特段の疑問を呈する報道は見られません。


私の推測では、両国ともに、軍需物資(弾薬やロケットなど)が枯渇し始めた可能性が考えられます。


例えば、イランは数千発のミサイルを保有しているとされますが、連日の大規模な応酬があれば、その消耗は想像に難くありません。徐々に在庫が尽きてきたのかもしれません。


一方、イスラエルも、その強固な防空システム「アイアンドーム」をもってしても、イランからのミサイルが想定以上に飛来することで、迎撃ミサイルを予想外に消費した可能性はあります。完璧な防御網とはいえ、無限に弾薬があるわけではありません。


私がもう一つ疑問に思うのは、イスラエルがイランの戦略拠点を攻撃し、再起不能にしたと報じられているにもかかわらず、なぜイランからのミサイル攻撃が続いているのかという点です。ミサイルの所在地などは特定できなかったのでしょうか?通常であれば、そのような重要な情報は把握しているはずだと考えるのですが。




エマニュエル・トッドが予見するアメリカの行方:『西欧の敗北』を読んで

 先日、エマニュエル・トッド氏の著書『西欧の敗北』を読みました。この本では、米国と欧州が様々なデータに基づいて衰退の一途を辿っていることが示されており、非常に衝撃を受けました。 本書は2024年11月の発行ですが、執筆されたのはトランプ前大統領が再選を果たす前だと推測されます。し...