石破首相が退陣し、新たな自民党総裁選が始まりました。例年通り複数の候補者が名乗りを上げ、メディアもその動向を追っています。一見、いつもの総裁選に見えますが、今回はこれまでとは違う「何か」が動いているように感じます。
次期総裁候補として、高市早苗氏や小泉進次郎氏などの名前が挙がっていますが、誰が総裁になったとしても、その政権運営は極めて困難を極めるでしょう。なぜなら、これまでの「自公連立政権」では、もはや思い通りの政治運営ができない状況が見えてきたからです。
自公連立政権が抱える限界
先の衆議院選挙、そして参議院選挙で自民・公明両党が大敗を喫したことは記憶に新しいでしょう。もはや自公体制のままでは、この逆風を覆すのは難しいのではないでしょうか。
振り返れば、自民党はかつての「一党独裁体制」から、公明党との協力が不可欠な「自公体制」へと移行しました。しかし、その体制に安住してしまった結果、再び一党での強固な政権基盤を築くことができませんでした。
それどころか、今後の政治運営には公明党以外の政党の協力も必要になってくる可能性すらあります。かつては「自公民体制」とも言われましたが、連立政権の拡大は、政権運営の難しさをさらに増すことになります。
野党第一党の失速と多党化の時代へ
また、与党だけでなく、立憲民主党の状況も注目に値します。これまでは「自公 vs 立憲民主」という対立軸が明確でしたが、先の選挙では自公両党だけでなく、立憲民主党も思うように議席を伸ばせませんでした。
次期総裁が決まれば、近いうちに衆議院の解散・総選挙が行われるでしょう。多くの人が、新しい総裁が自民党を立て直し、再び自公体制、あるいは自公民体制に戻ると予想しています。しかし、そのシナリオ通りに進むでしょうか。
私はむしろ、「多党乱立の時代」が本格的に到来する可能性が高いと考えます。
ヨーロッパの多くの国では、すでに多党乱立の状況が常態化しており、特に右派政党が勢いを増しています。このような現象は、日本でも起こるのではないでしょうか。
新しい総裁が直面するのは、かつての安定した政権ではなく、協力者を求め、多くの異なる声に対応しなければならない、不確実な未来です。これは、日本の政治が根本的な転換点を迎えている静かな兆候なのかもしれません。