チーム未来の代表である安野貴博氏が、「チーム未来が考える少子化対策」という表題でYouTubeで説明をしているのを見かけました。デジタル技術を駆使する安野氏の提案はどういうものか興味がありました。
動画の中で安野氏は、少子化の原因として「結婚数」と「(夫婦あたりの)子供数」の減少を挙げて説明しています。
結婚数が減少しているのは、(1)経済的理由、(2)価値観の変化
子供数が減少しているのは、(1)晩婚化、(2)経済的理由
という原因を挙げています。
これらの対策として、子育て減税、社会保険料の引き下げ、不妊治療を受けやすくすることなどを挙げています。しかし、これらの対策は取り立てて目新しいものではなく、突き詰めれば「子どもを増やすためには経済的な助けを行えば少子化は解決する」という考え方に基づいているように思います。
私は以前から申しておりますように、少子化対策は経済的な助けを行えば解決するというような単純なものではないと考えています。むしろ、現代社会のあり方に対し、人間が持つある種の(動物的とも言える)本能として、「これ以上子供を多く持つのはいけない」と無意識に反応しているのではないかと思うからです。
こういった少子化対策の話を聞くたびに考えるのは、対策を提案している方ご自身は、お子さんを何人ほど持っておられるのだろうか、ということです。もちろん、これは非常にデリケートな問題です。お子さんが少ない方でも、本当はたくさんの子供が欲しかった、あるいは欲しいと思っておられる方がたくさんおられるからです。ですから、お子さんが少ないというだけで少子化対策を議論する資格がないとは、全く思いません。
ただ、提案される対策がご自身の経験や実感に基づいているのか、それとも純粋に理論的なものなのかは、少し気になるところです。
そこで、チーム未来の代表である安野貴博氏ご自身はどうなのだろうかと(差し出がましいとは思いつつ)調べてみました。安野氏はご結婚されていますが、ご自身の考えとして「子供は持たない」と決めておられるようだ、ということが分かりました。
安野氏がどのような信条を持っておられるかはもちろん自由ですし、そのこと自体をどうこう言うつもりはありません。しかし、氏が提案されている経済的支援策は、主に「子供は欲しいが、経済的理由などで持てない」方々に向けられたものだと推察されます。
だとすれば、安野氏が挙げられた原因(2)の「価値観の変化」、つまり安野氏ご自身のように「子供を(積極的には)欲しない」という選択をする人々が増えていることに対するアプローチが、この提案からは抜け落ちているように感じます。
私はこの価値観の変化が、経済的な理由よりも、少子化に大きく影響していると考えるからです。
安野氏ご自身が「子供を持たない」という現在の考えを変えて、「子供が欲しい」と思えるようになるとしたら、それはどのような社会の変化や支援策が必要になるのでしょうか。
それこそが、経済的支援策と並んで、あるいはそれ以上に、これからの日本にとって本来の(そして、より本質的な)少子化対策と言えるのではないでしょうか。
 
 
 
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