本日、森会長が辞任するというニュースを見た。そこまでやるかというのが、私の正直な感想だ。しかし、SNSの影響は大きく、やむを得ない判断だったのかも知れない。
森会長は3日の日本オリンピック(JOC)臨時評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言し、それが女性蔑視の発言と取られた。
ただ、この発言をなんのバックグラウンドを持たずに、読んでみると、特に問題という発言でもない。単に、森会長が自分が思っていることを単に言ったに過ぎない。実際には、ご自分が言ったのではなく、他の人のことが言ったことを引用したのだ。これを言うと、私の3人の娘からは、年寄はわかっていないと言われたが。
さらに、会議に時間がかかるというのは、問題かというと、しっかり時間をかけて議論するのが会議なのだから、この発言で女性蔑視というのは、どういうことだろう。
確かに、従来からのいろいろのところで行われている会議というのはすでに根回しが行われており、ほとんと反対意見もなく、シャンシャンシャンと終えてしまう形の会議が多い。そして、その根回しを知らされていない女性が、突如として意見を出してしまい、会議を長引かせてしまうという事があるのも事実だ。
ただ、これは女性の問題というよりは、会議の進め方の問題で、会議は議論する場ではなく、すでに決まっているものに承認を与えるような会議が日本には多いことだ。
この場合、女性だけでなく、下位の位置にいる男性も根回しから外されていることだ。単に、女性を外したのではない。事前に然るべき人たちには根回しが行われているだろうなと、想定して、会議に臨むことも大切だ。それでも、ここは問題だという点は発言すべきだろう。
しかし、この程度のことで騒ぎまくって、そして森会長を辞任に追い込んでしまうのは良いことなのか?
単に、代わりが出てくるだけのことだ。しかも、多分男性の代わりが出てくる。女性が出てくることはない。
男女の取り扱いの格差に関しては、いろいろのところで取り上げられている。近いところでは、医学部の入宅試験の女性差別だ。この件でも、いまだにその入試制度が改善されていない大学もある。理由は本学の方針であると突っぱねたまま。つまりウヤムヤにされてしまったのだ。試験制度を改善したという病院にしても、試験の点数という麺では改善しても、面接などいろいろの手を使い、女性の学生が増えるのを阻止するだろう。事はそう簡単には進まない。
今回のように、SNSで騒ぎ回って、森会長を辞任に追い込んで、それで良しということでは、本当の改革にならない。もちろん、森会長が辞任したあとも、少しの間は問題を取り上げるが、下火になるのは時間の問題だ。マスコミは国民が注目するところを大きく取り上げるが、すでに用済みになってしまったテーマには手を付けない。
根本的な改善は、女性の地位向上をもっと図らないと、現在の状況は全く変わらず、辞任する会長が増えるだけのことだ。
日本は、あるいは世界でもほとんどが男性優位の社会だ。政治家にしても、会社の社長にしても、ほとんどが男性である。これを変えるのは大変な労力がいるということだ。
例えば、会社で女性の社長を出すには、その社長候補になる必要がある。社長候補には複数の部長が列挙されるとすると、その部長のうちの3割位は女性でないと、候補に列挙されるのはむずかしい。現状は3割などとんでもなくて、ゼロという会社が多いのではないだろうか?
女性の部長を多く排出するには、その候補である課長の女性の割合を多くする必要がある。さらに、課長での割合を高くするには、係長の女性を多く出す必要がある。そして、その根本は採用者数を多くすることだ。
未だに、それができていないのに、どうして、今すぐにできるような幻影を浮かべてしまうのか?
上の例は会社での例を上げたが、あらゆるところでこういう話は生き残っている。これを解決しないと、どうにもならないのに。
SNSで取り上げるなら、例えばNHKの審議委員会のメンバーが決まったら、その男女数を問題にするのが良い。政治家の数もしかりだ。女性の政治家を増やすには、女性が立候補して、それに女性が投票すれば、確実に女性の政治家は増えるはずなんだが。政治家の世界では、与野党ともに男女の数は大きな差がある。ここから手を付けるのが良いのかも知れない。そういう意味では、市長や町長などで、女性が増えているのはいい傾向だ。
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