今日の毎日新聞「余録」では、「戦時中、大量に発行された国債は、戦後のハイパーインフレで紙くず同然になった」と紹介されていました。この記事は、現在の国の借金残高が国内総生産(GDP)の2倍に達しており、「戦時並みだ」と指摘しています。しかし、この見方にはいくつかの誤解があると考えます。
🎯 単純な借金比較では不十分
結論から言えば、現在の財政状況を「借金が多いから戦時並み」と断じるのは早計です。国の財政を正しく評価するには、負債だけでなく、国が保有する資産や経済の安定性も含めて総合的に判断する必要があります。
🕰 過去の国債と現在の国債は性質が異なる
戦時中の国債が紙くず同然になったのは、単に敗戦の結果ではありません。根本的な原因は、戦後のハイパーインフレーションによって通貨の価値そのものが失われたことにあります。仮に日本が戦争に勝っていたとしても、戦後の混乱や経済的な不安定さによって、国債の価値は大きく揺らいでいた可能性があります。
一方、現在の日本では、国債に対する市場の信認が保たれており、金利も極めて低く安定しています。これは、戦時中とはまったく異なる状況です。
💰 国の財政は「資産」と「負債」の両面で見るべき
嘉悦大学の高橋洋一氏も指摘しているように、国の財政は家計と同様に、負債だけでなく資産も含めてバランスシートで評価すべきです。
日本は確かに多額の国債を抱えていますが、同時に以下のような資産も保有しています:
• 国有地や建物
• 政府保有の株式
• 公的年金基金や準公的機関の資産
これらの資産は、負債を大きく上回る規模で存在しており、財政の安定性を支える重要な要素です。
このような資産背景があるからこそ、日本の国債は高い信用を維持し、株式市場も堅調に推移しています。もし本当に財政破綻の危機が迫っているのであれば、こうした経済状況は説明がつきません。
✅ まとめ:財政評価には多角的な視点が必要
国の財政状況を正しく理解するには、借金の額だけでなく、その裏にある資産、経済の安定性、国債の信認などを総合的に判断することが不可欠です。
現在の財政を「戦時並み」と単純に比較するのは、事実を誤って伝える危険性があり、国民の不安を煽るだけの不適切な議論と言えるでしょう。
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