多くの国が、いま少子化という課題に直面しています。
たとえば、中国政府は7月末、子どもが3歳になるまで年間3,600元(約7万4,000円)の育児手当を支給すると発表しました。さらに、幼稚園の保育料の1年分を無償化したり、無痛分娩や不妊治療への助成も進めるなど、かつての「一人っ子政策」から大きく方針を転換し、出生率の回復を目指しています。しかし、その効果はまだ見えていません。
中国だけではなく、世界中の主要国で少子化は進んでおり、日本でもこの状況は深刻です。2024年の出生数は初めて70万人を下回り、女性が一生のうちに産む子どもの数を示す合計特殊出生率も過去最低を記録しました。このままでは人口減少が加速し、経済や社会保障制度に深刻な影響を及ぼすことが懸念されています。
なぜ少子化は止まらないのか?
少子化の要因として、一般的には次の点が挙げられています。
晩婚化・未婚化
子育てや教育にかかる費用負担の増大
仕事と子育ての両立の難しさ
結婚や出産に対する価値観の変化
こうした課題に対し、これまで国や自治体はさまざまな対策を講じてきました。結婚や子育てへの経済的支援、育児休業制度の充実、柔軟な働き方の推進などです。しかし、これらの対策は少子化のスピードを緩めることはあっても、流れそのものを変えるには至っていません。
なぜなら、少子化の背景には、表面的な要因だけではない、もっと根深い問題があるからです。特に、文化レベルが成熟した社会では、男女平等の意識が浸透し、女性が社会で働くことに強い意義を感じるようになりました。 その結果、育児に時間を取られるよりも、キャリアを優先したいと考える人が増えたのです。現在の社会では、育児にかかる費用を補う手当をもらうよりも、社会に出て働くことでそれ以上の収入を得られる可能性が高いことも、この傾向を加速させています。
少子化は「人間の本能」が引き起こすのか?
この状況を打開する、決定的な対策はまだ見つかっていません。
しかし、そもそも少子化は、人間の本能によって引き起こされているのではないでしょうか。私たちは、子どもを産み育てることを「自分で考えて行動している」と思っていますが、その判断の根底には本能的なものが含まれているのかもしれません。
人口がある一定のレベルまで減少し、社会全体が「このままではいけない」と本能的に感じ始めるまで、少子化は進み続けるのかもしれません。そしてその時、私たちは初めて、根本的な対策を見つけ出すことになるのではないでしょうか。
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