ここしばらく連絡が途絶えていた友人が、今年の3月に亡くなっていたことが分かりました。先日、奥様からご連絡をいただいたことで知ったのです。
その際、奥様から「主人がパソコンのファイルにパスワードをかけたまま亡くなってしまい、本当に困っている」というお話を伺いました。いわゆる「デジタル遺品」をめぐる、現代ならではのトラブルです。
パスワードをかけたのが、本当に重要な書類(資産関係など)だけなら納得もいきます。しかし彼は、自分が「大切だ」と思うものすべてにパスワードをかけてしまっていたようでした。
最大の誤算は、そのパスワードを奥様など、家族の誰にも教えていなかったことです。病床で時間はあったはずなのですが、伝えるのをすっかり忘れてしまっていたようでした。
失われた、世界に一枚の「蝶の写真」
彼は若い頃から、蝶の写真を撮るのが大好きな人でした。
日本国内だけでなく、海外まで撮影旅行に出かけるほどで、中にはかなり貴重な蝶の写真もあったそうです。生前、私にも嬉しそうに自慢してくれたものでした。
パソコンに詳しい息子さんがいらっしゃり、なんとかパスワードを解こうと色々と試されたそうですが、結局は諦め、ディスク内のファイルをすべて消去されたとのこと。
専門の解読業者に頼むことも考えたそうですが、「自分たちの知らない父のファイルを他人に見られるのが心配だった」と仰っていました。
長年の情熱が詰まった貴重な写真たちが、一瞬ですべて消えてしまった。そう思うと、なんとも切ない気持ちになります。
残される家族のために、今できる対策を
私自身も、銀行口座や証券会社など、重要なパスワードをまとめたファイルにはロックをかけています。ただし私の場合は、子供たちにその開き方を共有してあるため、私が いなくなっても対応できるよう対策しています。
「死んでしまえば、あとの人がどう困ろうと知ったことではない」というわけにはいきません。本人は亡くなっているので責められませんが、残された家族にとっては大迷惑になってしまいます。
とはいえ、最近のセキュリティは一筋縄ではいきません。
パスワードだけでなく、2段階認証、指紋や顔認証、さらには「パスキー」の導入など、年々複雑化しています。本人のスマートフォンや生体認証がなければ、家族であっても手も足も出ないケースが増えているのです。
自分が亡くなったあと、大切な家族にできるだけ負担をかけないために、今どんな対策をしておくべきか。
「まだ早い」と思わず、元気なうちにデジタル資産の整理と共有を考えておくべきだと、友人の件を通じて強く実感させられました。
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