イラン戦争が開始されてから、100日近くが経過しようとしています。
日本のメディアの報道は、実際に現地に行って取材しているものが少ないため、その内容には疑問が残ります。一方、海外メディアの報道も、トランプ大統領やイスラエル側を支持するものと、イラン側を支持するものが入り混じっており、どちらを信じるべきか判断が難しい状況にあります。
特にこうした戦争においては、互いに被害状況などの詳細を敵方に見せるのは不利益となるため、正確な実態はなかなか表に出てきません。私は海外からの情報をいくつか精査しながら、どの情報が正しいのかをできるだけ冷静に判断したいと考えています。
そんな中、先日拝見した「岩上安身氏による矢野義昭元陸将補へのインタビュー動画」(全4本)は、非常に本質を突いた素晴らしい指摘がなされていました。
※YouTubeで「岩上安身 矢野義昭元陸将補」と検索すると視聴できます。もともとの有料版動画を要約し、4つに分けたものです。
矢野氏が語った具体的な内容についてはぜひ動画をご覧いただきたいのですが、その中でも特に興味深かったポイントを7つの項目に分けてご紹介します。
動画の主なポイント
(1)ネットメディアやYouTubeに溢れるプロパガンダ
米欧の情報機関などは、一般民衆に向けて都合の良い情報(ナラティブ)を流し続けています。これに対し、政府の歪曲に絶望し、退役後にSNSや独立系メディアで真実を発信し続ける「良識派」の専門家(ダグラス・マクレガー大佐、スコット・リッター氏、ラリー・ジョンソン氏など)の分析は、極めて信頼性が高いと言えます。
(2)トランプ政権とシオニズム(イスラエルロビー)への絡め取られ
元々は「戦争をしない」「ネオコンの戦争研究所とは真逆の立場」として期待されていたトランプ氏ですが、実際には政権内外でシオニスト(親イスラエルロビー)に完全に絡め取られていた実態が明かされています。
(3)ネタニヤフ首相によるトランプ大統領の「洗脳」
イラン戦争のそもそもの始まりは、ネタニヤフ首相が訪米してトランプ氏らごく少数の幹部にプレゼンを行い、実質的に開戦へと洗脳・決断させたことにあります。
(4)「大イスラエル主義」と選民思想、そして殲滅戦思想
周辺の非ユダヤ人を「奉仕すべき対象(サブヒューマン)」とみなす過激な思想が根底にあります。この戦いは政治の延長ではなく「宗教戦争」であり、その本質は「女子供から家畜、歴史や言語、記憶までをも根こそぎ奪い尽くすジェノサイド(徹底した殲滅戦)」です。
(5)近代兵器の限界と「過去の遺物」化
イスラエルの防空システム「アイアンドーム」は、音速の5〜10倍以上で不規則な軌道(ナックルボールのような動き)で突入してくる「極超音速ミサイル」の前には機能していません。また、大量のドローンやミサイルによる「飽和攻撃」や水中ドローンの進化により、戦車、空母、有人戦闘機は現代戦において「高価な過去の遺物」に成り下がっています。
(6)米軍・イスラエルに対するイランの状況
イランの精密誘導ミサイル等により、湾岸地域に展開する米軍基地の監視レーダーが真っ先に破壊され、基地は壊滅的な打撃を受けました。イランは数十年にわたりミサイル工場や濃縮施設を地下深くに構築しており、米軍のバンカーバスター等による過去の破壊アピールはプロパガンダに過ぎず、実際には破壊できていません。
(7)海峡封鎖と世界経済への致命的な打撃
ホルムズ海峡や、紅海へと続くバブ・エル・マンデル海峡などが実質的に封鎖、あるいは危機に瀕しています。湾岸地域(サウジやUAEなど)は真水を得るための「海水淡水化施設」が全域で数箇所しかなく、ここがイランに攻撃されれば、住民の生命維持(飲料水)すら不可能になります。
私の考察と日本の課題
私は上に挙げた項目の中でも、ウクライナ戦争が始まる前までは「最強」と信じられていた戦車、空母、有人戦闘機が、ドローンやミサイルの飽和攻撃、あるいは水中ドローンの進化によって「無用の長物」と化している点に、一番大きな衝撃を受けました。
これまで「これらの高価な兵器を持っていれば優位に立てる」と考えられていた常識が、安価なドローンなどの新型兵器によって完全にひっくり返されているのです。
この認識は、世界の軍事専門家の間ではすでに共有されている最先端の常識です。それに対して、日本政府の対応や国内メディアの記事を見ていると、この大転換が大きく取り上げられることはほとんどなく、重要視されているとも思えない状況です。
日本もこうした戦争のパラダイムシフト(構造変化)に応じた現実的な防衛策を急いで検討しなければ、今後とんでもない危機に直面するのではないかと危惧しています。
具体的に検討すべき課題は山積みです。
ドローンの大量生産体制の構築と小型化
水中ドローンの設計・国内生産
新たなロボット兵器の開発
大量のドローン襲来(飽和攻撃)に対する迎撃・防御策
有事に備えた(一般国民用の)防空壕や地下トンネルの設置
もちろん、イラン戦争やウクライナ戦争のような悲劇的な対立をそもそも発生させないための、外交的・政治的な対話や対策が最優先であることは言うまでもありません。
しかし、「米国が最強だった時代」は終わり、ただ米国にだけ頼っていれば安心だというフェーズは過ぎ去りました。この地殻変動とも言える新しい変化に、日本という国がどのように主体性を持って対応していくべきなのか――。これこそが、私たちに突きつけられている最も大きな課題ではないでしょうか。

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