ここ数年のことなのか、高齢者ドライバーの事故が大きく報道される事が多くなってきた。
さらに自動車免許証の更新でも、高齢者に対しては特別なテストが実施されるようになった。
平成29年度の交通事故発生状況というのが、警視庁から発表されている。ネットでも、「平成29年度における交通事故の発生件数」というのを検索すると、そのPDFファイルが見つかる。
その中に「原付き以上運転者(第一当事者)の年齢層別免許保有者10万人あたり交通事故件数の推移」というのがある。以下のグラフである。(実際には数値の入った表も示されている)
(画像はクリックすると拡大されます)
これを見るとわかるのだが、事故件数が多いのは16歳~24歳までの年齢層で、75歳以上の年齢層ではない。80歳を超えると少し他の年齢層よりも大きな数字になっているが。
これだけなら、もっと若い層の事故に対して厳しくなって良いはずである。
ところが、警視庁は別に「平成29年における交通死亡事故の特徴等について」という報告を出している。これもネットでこの表題で検索するとPDFファイルがすぐに見つかる。
その中に、「高齢運転者による死亡事故に係る分析について」という物があって、年齢層別の免許人口あたり死亡事故件数というのを示したグラフがある。以下のものだ。
これを見るとよく分かるのだが、19歳以下の年齢層を除いて、他の年齢層と比べると、75歳以上の(免許人口10万人当たり)死亡事故件数は明らかに多いことがわかる。
更に厄介なことに、その報告によると、75歳以上の年齢層の人口はどんどん増えており、その結果として、75歳以上による死亡事故はどんどん増える傾向にあるというのだ。
これでは、確かに高齢者のドライバーに注意を呼びかけるのは納得できる。
この高齢者のドライバーによる死亡事故の防止をどうすればいいか。もちろん、運転に心配のある人には免許の更新を止めてもらうというのは一つの方法である。しかし、それだけではなかなか死亡事故を防ぐということにならない。自動車を必要としているのは、若い人たちよりも、歩くのにもままならない年寄りの方ではないだろうか。
最近の車は、安全運転支援システムが必須になってきており、ドライバーの安全運転を支援してくれる。この安全システムは死亡事故対策としても、大きな力を発揮する。高齢者には古い車を買い替えて、こうした安全システムを装備した新しい車を購入するように指導するというのも一つの方法ではないだろうか。
警視庁の交通事故の報告にもあるが、交通事故は年々減少傾向にあるという。車の安全運転システムはまだまだ改良の余地があるが、高齢者がその機能を十分享受するようになれば、痛ましい交通事故も減ると思うのだが、どうだろうか。
2018年6月4日月曜日
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