2025年12月22日午前10時51分30秒。種子島宇宙センターから轟音とともに飛び立ったH3ロケット8号機。第1段エンジンで順調に高度を上げたものの、2段目エンジンの1回目の推進力が弱く、2回目は着火後すぐに停止。推進力を失い、打ち上げは失敗に終わりました。
この失敗は、今後の日本の宇宙開発に大きな影を落とすと考えられています。技術的な課題はいずれ解決されるはずですが、私はそれ以上に**「開発予算の規模」**こそが根本的な問題ではないかと感じています。
主要国の政府宇宙予算(2024年〜2025年推計値)を比較すると、日本の立ち位置が鮮明になります。
低コスト開発で知られるインドよりは多いものの、欧州や中国は日本の2〜3倍、アメリカに至っては15倍以上の予算を投じています。
開発費が限られれば、新技術の検証費用が削られがちになり、優秀な人材の確保も難しくなります。昨今、世界中で安価な民間ロケットが台頭するなか、競争力が低下すれば打ち上げ受注も減ってしまうという悪循環に陥りかねません。
また、日本特有の課題として、軍事転用への懸念から防衛目的の開発が制限されてきた経緯があります。諸外国では軍事技術として開発された成果を民生用へと転用(スピンオフ)し、効率的に技術革新を進めていますが、日本はその恩恵を十分に受けられていません。
日本は限られた予算の中でも、国際宇宙ステーション(ISS)への物資補給や、月面着陸、小惑星探査などで世界に誇る実績を上げてきました。まさに「工夫の賜物」と言えるでしょう。
しかし、今回のような失敗を糧にし、持続可能な開発を続けるためには、基礎研究や実証試験への投資を今以上に拡大することが必要不可欠ではないでしょうか。
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