6月29日付の日経XTECの記事「再エネやEVの批判者が使う“古いデータ”が日本をおかしくする」はデータに基づいた良い記事だった。
再エネやEVに関しては、それぞれ意見があり、どういうように日本として取り組むかというのは、よく議論するべきものだ。しかし、その議論にまやかしのデータが使われているとしたら、その意見は信用ならないし、有益な議論にならない。
この記事では以下のような点で古いデータが使われているという。
1. EVには50億kWhの電力量が必要 → この電力量は総発電量の0.5%
2. 風車の接地に必要な面積を大きく見積もり
3. 原子力発電と太陽光発電の必要接地面積
4. 蓄電池の製品価格をそのまま発電コストとする
5. 再生可能エネルギー関連の製造コストが古すぎる
6. EVに使用されるLiイオン2次電池の炭酸ガス排出量のデータが古い
このように、古いデータが使われてしまうのは、どうしてなのか?
確かに、自分の意見を都合の良いようにするには、古いデータを使う方がいいからという事も考えられる。
もう一つの原因は、製品の価格が10年、20年経過しても変わらないものと考えているからではないか。劇的に変化していることを認識していないのだろう。
太陽光パネル、蓄電池、風車など再生可能エネルギーで使用される部材は、大量に生産されることにより、価格低下が著しい。この点を見逃している。
上のグラフは太陽光発電で使用されるパネルの価格の推移である。OurWorldInDataのサイトから入手したものだ。価格の低下は一定割合ではないが、劇的に下がってきていることがわかる。大量に生産されるので、その効果が大きく出てきた結果である。
上のグラフは、石炭、天然ガス、原子力、風力、太陽光の2009年から2019年の間の価格下落を示したものだ。(同じくOurWorldInDataより)
風力発電も太陽光発電に比較すると少ないが、価格は3分の1に下がってきている。
上のグラフはそれぞれの発電による電力量とその価格の推移(2010年から2019年)を比較したグラフである。再生可能エネルギー関連の発電が大きく価格下落していることがわかる。
ここで利用したグラフのデータは2019年までのもので、今年2022年にはどうなっているかは示されていない。ただ、その予測は上のグラフからできそうだ。その結果は、再生エネルギーのコストがさらに下落していると思われる。
6月29日付の日経XTECの記事「再エネやEVの批判者が使う“古いデータ”が日本をおかしくする」は以下のところで読める。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00138/062801072/
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