昨日から福島第一原発の処理水の海への放出が始まった。
そもそも処理水というのはどういうものなのか。福島第一原発で出てくる放射性物質などが含まれている水から、それらを取り除き、普通の水にしたものだ。ただし、その水には普通の水よりも多くのトリチウムが含まれている。
どうしてトリチウムをその水から取り除けないのか?そもそもトリチウムというのは何なのか?
一般的な水素は「陽子1個の原子核」と「電子1個」で出来ているが、トリチウムは「陽子1個と中性子2個の原子核」と「電子1個」で出来ているものを言う。水はH2Oなので、水素が2つ含まれるが、その水素の一つがトリチウムということである。このトリチウムと酸素でできた水と普通の水素と酸素でできた水は性質が殆ど変わりのないものなので、その分離をするのが大変ということなのだ。
ちなみに、「陽子1個と中性子1個の原子核」と「電子1個」出できているものを、重水素という。
普通の水素でできた水と、トリチウムでできた水を分離するのは、考えただけでも大変そうに思われる。実際に大変なことで、現在の技術では大量に処理するには時間とお金がかかりすぎるようだ。
一方、自然界にはトリチウムを含む水は存在しており、継続的に自然界で作られている。宇宙から飛んでくる放射線などによって、作られている。
今回の処置は、このトリチウムが含まれている処理水を、自然界でトリチウムが含まれている割合よりも低くして、海に放出する。今回の処置では、国の基準の40分の1以下の割合にして、放出する。
まあ、考えてみれば、どんな毒性のあるものでも、ある一定の濃度以下にしてしまえば、問題ないというものは多い。それと同じ取り扱いをするというわけだ。
しかし、考えてみると、自然界で作られているトリチウムの他に、福島第一原発で作られているトリチウムが、地球全体では増えるわけで、いくら水で薄めたとしても、地球全体としては、濃度が濃くなったと言える。だから、馬鹿みたいにトリチウムが増えてしまうと、やはり危険になってくる可能性はある。
ただし、今のところは、海の水の量が福島第一原発で放出される水の量に比べて格段に多いので、問題にならないだろうということだ。
実際には、福島第一原発でだけでなく、中国や韓国などを含めて、海外での原子力発電所で放出されるトリチウムは、多量にある。福島第一原発よりもトリチウムを多く放出しているところはたくさんある。原子力発電所が増えすぎると、やはりトリチウムに関して、問題になることがあるかも知れない。この可能性は低いと考えられるが。
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