2024年も残り僅かとなりましたが、今年特に注目された話題を取り上げてみます。
AIの進歩
まず、大きいのはAIの進歩です。今年のはじめには想像もできなかったようなAI技術が、次々と登場しました。その象徴が、今年のノーベル賞です。なんと、物理学賞と化学賞の両方でAIに関連する研究が受賞対象となりました!
ノーベル賞の受賞
物理学賞は、「機械学習」や「深層学習」(ディープラーニング)の基礎を築いた、ジェフリー・ヒントン氏 (カナダ・トロント大学名誉教授)、ヤン・ルカン氏 (米ニューヨーク大学教授)、ヨシュア・ベンジオ氏 (カナダ・モントリオール大学教授)の3名が受賞しました。彼らは1980年代から1990年代にかけて、現在のAIブームの火付け役となった技術の基礎を築いた功績が認められました。
化学賞は、タンパク質の設計と立体構造予測にコンピューターとAIを活用した、デビッド・ベイカー氏 (米ワシントン大学教授)が受賞しました。ベイカー氏が開発した「RoseTTAFold」は、AIを使ってタンパク質の立体構造を正確に予測する画期的な技術です。これは創薬や医療技術の発展に大きく貢献すると期待されています。
AI関連研究がノーベル賞を受賞したのは、今年が初めてです。これはAI技術が科学分野においても重要な役割を果たすようになったことを示す、画期的な出来事と言えるでしょう。
今年のAI関連の話題
画像生成AIの分野では、Midjourney、Stable Diffusion、DALL-E 2などの画像生成AIが、より高画質でリアルな画像を生成できるようになり、アートやデザイン、広告など様々な分野で活用が進んでいます。例えば、Midjourneyは、すでに多くのアーティストが作品制作に利用しており、Stable Diffusionは、オープンソースであることから、様々なアプリケーションに組み込まれています。
文章生成AIの分野では、ChatGPTやGeminiなどの大規模言語モデルは、より自然で人間らしい文章を生成できるようになり、文章作成、翻訳、要約、質疑応答など、様々な用途で使われるようになりました。例えば、Googleが開発したGeminiは、100万トークンという巨大なコンテキストウィンドウを持ち、従来のモデルよりも高度な推論や文章生成が可能です。ChatGPTは、カスタマーサポートやコンテンツ作成に広く利用されており、Geminiは、その高度な能力から、研究開発や専門的な分野での活用が期待されています。
動画生成AIの分野では、Runway Gen-2など、テキストから動画を生成するAIが登場し、手軽に動画コンテンツを制作できるようになりました。
音楽生成AIの分野では、GoogleのMusicLMなど、テキストから音楽を生成するAIが登場しました。
AI技術の社会での普及
AI技術の進化に伴い、実際の社会での使用がどんどん普及してきています。
ビジネス分野では、AIを搭載したチャットボットが顧客対応を行うことで、企業が人件費を削減し、顧客満足度を向上させるなど、業務効率化、顧客対応、マーケティング、人事など、様々な業務で活用されるようになりました。
医療分野では、画像診断支援により、医師の診断精度向上や見落とし防止に役立つなど、画像診断、創薬、治療法の開発などの医療分野でも、活用が進んでいます。
教育分野では、個別学習支援、成績評価、教材作成などで活用が始まっています。
そのほか、AIは、貧困、環境問題、災害対策など、社会課題の解決にも取り入れられてきています。
AIの倫理的問題と法整備
こういう、AIの活用に伴って、AIの倫理的な問題、例えば、AIのバイアス、プライバシー、雇用への影響などが取り上げられるようになりました。そして、AIの開発と利用に関する法的な整備が議論されるようになりました。EUではAI法が成立し、AIの利用に関する規制が強化される方向にあります。日本では、AI戦略会議が設置され、AIの社会実装に向けたガイドラインが策定されています。
今年はAI発展の序章に過ぎず、その急激な進化は、来年以降のさらなる発展を予感させます。AIの能力を持ったロボットが、人間を支配するといった科学小説のようなことは怒らないとしても、社会に役立つAIが大きく進歩するように期待しています。
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