2020年3月19日木曜日

コロナウィルス対策を考える(その8): クルーズ船での自衛隊の活躍

NHKの政治マガジンというところに特集記事というのがあって、その中に3月18日付けの記事に、「クルーズ船 自衛隊は何をした?」というのがある。

コロナウィルスに汚染されたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に自衛隊員が乗り込んで、活躍したという記事である。当時、政府の現地対策本部で副本部長を務められた防衛省の審議官、町田一仁へのインタビューの記事だ。

クルーズ船内は構造が複雑で、迷子になってしまうような形をしているという。実際に迷子になるケースもあったようだ。さらに、船内では携帯電話も使えないらしい。電波を通しにくい鉄板でできているかららしい。

そういう船内で、町田神祇官は対策本部とクルーズ船内とをなんども行き来するという苦労をされたようである。

そして、薬不足などの対応もされたようだ。結局、自衛隊は2700人あまりの人員をこのクルーズ船対策に派遣した。

この大人数の自衛隊の任務は、「船内の消毒」「診療や薬の配布」「薬の仕分け」「検査で陽性となった患者の搬送」というものだった。その際に、特に気をつけたのがコロナウィルスに対する防護基準で、厚労省のものよりも厳しいものにしたようだ。

この時に役立ったのが、感染症対策の知識がある東北方面衛生隊の看護官のアドバイスだった。さらに、ウイルスや細菌を使った生物兵器への対応に訓練を重ねた部隊である「対特殊武器衛生隊」の投入も行われた。

その他いくつかの対策を実施したので、このミッションにおける自衛隊の感染者は一人も出なかった。

実に素晴らしい実績である。でも、町田審議官はそれでも「成功したとは言えない」と言われている。

この記事を読んで流石に自衛隊だなと思った。

しかし、よくよく読んでみて、この記事できちんと書かれていないことがあることに気がついた。

この自衛隊のコロナウィルス対策に対する慎重な姿勢は、河野防衛大臣の指示によるところが大きいようだ。

政治マガジンの別の記事に「厚労省の防護基準上回る安全サイドに立った態勢に」という表題の以下のような文章がある。

『河野防衛大臣は閣議のあとの記者会見で、感染対策が十分ではなかったと専門家が動画で指摘したことなどを踏まえ「正しいかどうかの判断は専門家に任せたいが、疑念が呈された以上、隊員の安全面に配慮するために、防護態勢を引き上げるよう指示を出した」と述べました。』

河野防衛大臣がコロナウィルスに対する慎重な姿勢を自衛隊に指示したのは、「感染対策が十分ではなかったと専門家が動画で指摘したことなどを踏まえ」て指示がでたようだ。

この専門家というのは、神戸大学の岩田健太郎教授だろう。

この岩田先生の動画がなかったら、そして、河野防衛大臣がその指摘をきちんと捉えて自衛隊に指示をださなかったらどうなっていたか。自衛隊からもウィルス感染者が出ていたかも知れないのだ。

実際に河野防衛大臣が自衛隊に慎重な対応をするように指示するまで、自衛隊の服装などは全く完全な防護服とは言えないものだったことが、自衛隊が派遣された当時の写真でわかっている。実に岩田先生のおかげ様様というところなのだが、その点がこの記事ではっきりと書かれていないのは残念なことだ。

もう一つの疑問は、こういう対策を自衛隊が行っているなら、この対策に従った対応を厚生省の担当者や、クルーズ船の乗員、乗客に対してアドバイスしなかったのはなぜだろうという疑問はわく。ひょっとしたら、このアドバイスは行われていたが、記事には書かれなかったということかも知れないが。

しかし、いずれにせよ、この記事を読むと自衛隊がどういうことに気をつけて、コロナウィルスに立ち向かったかがよく分かる。そして、現在の我々でもどういうことに気をつければ良いのかということをわからせてくれる記事である。自衛隊のこういう活動にも頭が下がる思いだ。コロナウィルスに対する対応を気にされている方は、ぜひともこの記事を読まれることをおすすめする。Web上の記事なので、そのうちに消されてしまう可能性が高い。

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