GDPRとは「General Data Protection Regulation」の略である。
この施行にあたって、(日本にいる)私宛にもグーグルやeBayから、GDPRに対応するために、プライバシーポリシー(Privacy Policy)を変更したというメールが届いた。
GDPRは以前からあった個人情報保護の規制を、更に強化したものである。その、根本のところでは、米国のインターネット大手企業の、Facebook、Google、Appleなどに対する個人情報の取扱について、規制を強化した点ではないかと思う。
現在でも、我々がFacebookを使用する場合、自分の個人情報であるメールアドレスや生年月日、卒業した学校やその卒業年度など、Facebook内で公開している。
これらの情報がFacebook内で使用されている分には、誕生日のお祝いをしたり、同じ学校の同窓会のグループを作成したり、友人の友人をたぐることで、昔の友人にたどり着いて連絡できたり、いろいろ有用で、利用価値がある。
ただ、Facebookはこれらの個人情報は外部に流出させないのだが、個人の興味を持つものなどを、Facebookの会話の中で抽出し、それらを使用して、ある特定の品物(群)に興味を持つ人たちを一つの塊として、その品物の販売に使用したいと考える企業に提供しているのだ。Facebook上で、それぞれの個人が見る広告はそうしたデータベースに寄るもので、個人個人で見る広告が異なっている。
この場合、その群に入っている特定のユーザーからすると、自分に興味のある品物の紹介を適確に行ってくれるので、ありがたい面もあり、実際にそう思っている人が大半ではないか。
しかし、Facebookの情報が外部に漏れ出したらどうなるか。たかが生年月日がわかったところで、自分には問題は発生しないと思うかも知れない。ところが、そんな考えの上を行く戦略はあるもので、Facebookでは2年前に行われた米国大統領選で、個人データが大量に盗まれ、トランプ氏に有利に働くように利用されたという話がある。
このように個人データが登用されて悪用されるということもあるが、さらに欧州で考えられているのは、米国のIT巨大会社のインターネット支配である。Facebookを例にとっても、そうしたサービスを提供する企業は、Facebookが強大すぎて、新しく生まれてこない。IT巨大企業のやりたい放題になってきているのだ。
更に、シリコンバレーで起業し、それが一応企業として立ち上がった段階で、GoolgeやFacebookに買収されてしまう会社が後を絶たない。買収される側も、高価に買収されるので、ずっと企業を育てていくよりも、寄らば大樹の陰ということで、それを望んでいる場合が多い。WhatsUp(米国でのLINEに似たサービス)やInstagramなどがFacebookの傘下に入っているのは周知の事実である。
こうしたことにより、一旦大きくなった企業はどんどん大きくなり、競合相手がなくなってしまい、さらに巨額の収益を入手するという状態になってきているというのが問題のようだ。
個人情報はそんなに大きなデータ量ではないが、それがたくさん集まってビッグデータとなった時に、大きな価値を生じる。コンピュータの進化に従って、大量のデータが簡単に処理できるようになり、されにそれを利用して莫大な利益を入手できたり、国の防衛問題にも利用できたりする社会になってきた。莫大な個人データを既にもっている企業に有利に働くのは明らかである。
これに対して、現在のインターネット社会は、いまだにきちんとした規制が行われていない無法地帯である。これをルールに従った安全地帯にして、さらにインターネット社会の反映に役立たせられるかどうか、GDPRはその第一歩であることは確かなようだ。
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