4月8日の毎日新聞夕刊に「安全保障、国民が立たなければ」という表題の記事がでた。以下のところで読める。
https://mainichi.jp/articles/20220408/dde/012/040/008000c
この記事を読みながら、毎日新聞もやるなと思った。毎日新聞はややもすると左派系と考えられる記事が多いので、こんな記事が掲載されるとは思っていなかった。
まさに、これは記事の中にも書かれているが、「憲法9条削除論」である。筆者は長年この意見を主張している、東大名誉教授の井上達夫先生だ。
今回のロシアのウクライナ侵攻で、「日本に他国が侵攻してきた場合にどうするか」という問題が浮かび上がってきた。これはいつでも考えておかないといけない話なのだが、日本ではいつも避けて通ってきていた。しかし、今回の事態を受けて、考えざるをえなくなってきている。
「他国が攻めてきたら、諸手を挙げて降参すれば良い」などという意見がTwitterなどで投稿されているが、それではダメだと言っている。「逃げれば良いんだ」という話もあるが、どこに1億人以上もいる日本人を受け入れてくれるところがあるか?我々でさえ、多数のウクライナ人を受け入れていない。言葉が通じないから、ウクライナ人も日本に行きたいと思わない。それと同じことが日本の場合にも発生する。海外でずっと過ごしたいと思っている日本人は少ないだろう。
米軍がいるから、彼らが日本を守ってくれる。それほどお人好しの人はいない。自分たちにメリットがあるから、戦うわけで、他人のために戦う人などいない。自分の立場に立ったらわかるはずだ。現在の日本人は、電車の中でいじめられている人がいても、それを止めようとする人は少ない。
尖閣諸島に中国などが攻めてきても、米軍が出ていって戦うということなどは考えられない。
自衛隊が戦えばいいという話もある。しかし、井上先生によると、これは危険極まりない考えだ。「自衛隊は、戦力統制規範も交戦法規もないから、『危なすぎて使えない軍隊』なんですよ」、つまり、自衛隊が勝手に動きだしたときの抑制策がないので、危険ということだ。自衛隊が本格的な戦闘を行うための法律が整っていない。シビリアンコントロールが行えるようになっていない。
憲法9条があるために、日本はいまだに米国の属国になっているという。日本は全く、米国だよりの国なのだ。これでは本当の独立国とは言えない。
三島由紀夫の話が出てくるが、彼は憲法9条がある状態では、日本を自分たちで守らないといけないという気概を持った日本人がいなくなると考えていたようだ。三島由紀夫の檄文が挙げられている。
<法理論的には、自衛隊は違憲であることは明白であり、国の根本問題である防衛が、御(ご)都合主義の法的解釈によってごまかされ、軍の名を用いない軍として、日本人の魂の腐敗、道義の頽廃(たいはい)の根本原因をなしてきているのを見た>
このロシアのウクライナ侵攻を機会に、日本の防衛、日本の憲法を議論して見直すようにしたいものだ。
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