2020年10月17日土曜日

PCR検査の精度の謎

 コロナウイルスの流行で、私は初めてPCR検査というものを知った。コロナウイルスの検査だけに使用されるものだと最初考えたのだが、実は少量のサンプルを指数関数的に増幅することで、DNAなどの詳細を研究するに十分な量まで増量する方法だった。つまり、コロナウイルスの検査のためだけに利用する方法ではない。逆に、以前からあったPCR法を使用して、コロナウイルスを検査することを、PCR検査と呼んだのだ。


ここでは、そのPCR法の説明をするつもりはないので、知りたい方はネットで検索して、「ポリメラーゼ連鎖反応」(polymerase chain reaction))を検索して調べてみてください。


このPCR検査でまず気になるのが、その精度である。報道などによると、PCR検査をしても、70%の陽性者しか検出することができないという。残りの30%の陽性者は検査しても見つからない。また、陽性者として見つかった人の中に、陽性者ではない人が10%含まれているという。


このPDR検査の検出率について、先日、北海道大学病院の研究で、2000例の症例を検査を比較して、90%の感度があるという発表が行われている。では、今までの7割という感度はどこから出てきたのか?


日本疫学会のサイトの情報では、「中国・温州医科大学附属病院のファンらの研究では、新型コロナウイルスに感染する状況にあった症状のある患者51人に対してPCR検査を実施しました。症状が出てから平均3日の時点で行われた検査では、36人(71%)が陽性で、その後のPCR検査では、最終的に全員が陽性となりました。」という表記がある。また、中国の武漢の大学の研究で59%という数字も出ている。


どうもこれら中国のデータから、だいたい70%ではないかという説が主流を占めてきたようだ。


日本疫学会のサイトでの説明を更に読み進めてみると、「PCR検査の感度は?についての結論ですが、PCR検査の感度については、PCR検査自体以外の要因の影響が大きいこともあり、一概に感度は何パーセントであると言い切れないのが実情です。」という結論になっている。


ということは、先日発表された北大病院の研究発表が、精度として使用できるということなのか?


もともとPCR検査の精度を決めた中国の研究では、そのサンプル数が少なくてその研究で精度はこれだとは言えないようなものだ。それでも、今までその研究で得られた70%という精度を使用してきた。


そして、北大病院が発表したPCR検査の精度についても、その後特にそれを使用したらどうなるかなどという話は出てこない。コメントなども見かけない。


これに付随するのだが、コロナウイルスのPCR検査で、陰性の人が陽性と判断される率については、いろいろ調べたのだが、そのデータに関してどこから出てきたのかという話が、ネットを調べてもどこからも出てこない。どなたか、ご存知ならそのサイトを教えてもらいたい。数ヶ月前には、そういう話を聞いた気がしているのだが。


結局、北大病院がわざわざ研究発表してもあまり取り上げられなかったように、PCR検査の精度に関しては、実際に検査している現場では、それほど気にしていないように感じられる。精度がいくらであろうと、コロナウイルスの検出をするにはこの方法しかなく、やむなく使っているということのようだ。


最近ほど多くはなくなったが、PCR検査に関しては色々報道で取り上げられている重要なテーマである。それなのに、その精度に関してきちんとした値が出されていないというのはどういうことなのだろう。



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