2022年1月17日月曜日

豚の心臓移植から学べること

 先日、米国で豚の心臓移植が行われたことがニュースになった。


心臓移植はその生きた心臓を別の人に移植する。という事は、移植する側の人は確実に死ぬ。だから、なかなか心臓移植をするというのは難しい。大部分は脳死状態になってしまった人から心臓を供給してもらうことになる。この場合、その心臓は受け取る側の人が拒否反応を示さない人を探して、供給することになる。だから、心臓に問題がある人が、新しい心臓を入手するのは大変難しいことだ。


この話は、心臓だけでなく、他の臓器についてもいえる。新しいいい臓器が入手できれば、その臓器のために罹っている病気が治るのだから、入手したい人は多いと思う。しかし、いい臓器を入手するのは難しい。唯一、腎臓は二つあるので、その一つをもらって移植するというのは、日本でも行われているようだ。


米国で行われた豚の心臓移植は世界初のものである。科学雑誌のNatureのサイトの記事から入手した情報を紹介したい。


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遺伝子組み換えブタから移植された心臓を受け取った人は、今月初めに米国メリーランド州ボルチモアで手術を受けた後の経過は、順調のようだ。


移植外科医は、この移植により、結果が良ければ、より多くの人々に動物の臓器を提供できるようになることを望んでいる。ただし、多くの倫理的および技術的な乗り越えないといけないハードルが残っている。


移植を受けた男性の将来の健康への影響はまだよくわかっていないし、今後に役立つ有用なデータを得ることができるかはわからない。


今までの心臓移植は、豚からヒヒへの移植に限られていた。つまり、人間への移植は米国食品医薬品局(FDA)に申請しても却下されていた。


ところが、今回はこの移植を受けた男性が、人工心臓を取り付けることができないとか、過去の治療から普通の人間の心臓の移植を受けることができない体だったために、FDAから手術の許可を得た。


人に臓器を供給する豚などの育成については、海外ではいろいろのところで研究が進んでいる。育成する豚に遺伝子組み換え技術で人の体に移植したときに、拒絶反応が起こらないようにするためなのだが、その他いろいろの工夫が行われている。特に、心臓のサイズが人間の心臓のサイズに近いものでないと問題になるので、そういうサイズを得るための工夫も行われている。


こういう豚の育成は、米国では20年前くらいから行われており、バージニア州ブラックスバーグにあるRevivicorという会社は、広大な土地を所有して、豚を育成している。


いままでは、豚の臓器をヒヒに移植することで実験が進んでいたのだが、とうとう今回、人間に移植することになったわけだ。この研究を行っている人や、事業化を行おうと思っている人にとっては、千載一遇のチャンスが巡ってきたことになる。

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この手術が成功するか、もしくは手術を受けた人が少しでも長生きできたことになれば、次に移植をする機会は増えてくると考えられる。


私は、倫理的には半分は人間で、半分は豚というような生物が出来てくることも考えられて、難しい問題が残っていると思う。


しかし、技術的にはこういった対応で命が救えるのであれば、どんどん進められていくのではないか。





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