2024年1月18日木曜日

富士通が「イギリス最大の冤罪事件」の当事者?

  1999年に富士通UKが、イギリスの郵便局に納入したホライゾンという会計システムに欠陥があったというのが、問題の発端である。


 その結果、「不整合は、郵便局長による横領ないしは不正経理が原因」と判断された。そして、2000年から2014年にかけて700人以上の郵便局長が訴追された。郵便局長は、自分の財産から不足額を埋めさせられ、また一部の人たちは横領罪などで刑務所に収監された。


 この問題でまず考えさせられるのは、発注者側がこういうシステムに関して十分な知識を持っていないということである。


 日本でもトンネル工事がいい加減で、コンクリート壁が仕様通りではなく、薄い厚さのコンクリート壁で作られてしまい問題になっている。この場合、発注した側がその厚さについてきちんとしたチェックをしていなかったという指摘がされている。これは知識不足で発生した問題ではなく、チェックの問題である。


 富士通が請け負ったシステムは、そのシステムの構築やプログラムに精通した人が、チェックしないと問題点を指摘することはできない。一般的には、それを行う人材を発注者側持っていないことが多く、難しいことである。


 問題が発生した後、富士通UK側はこの問題を郵便局側に連絡したと思うのだが、それに対してすぐに対応できなかったのも問題の一つだ。郵便局側でそれを担当した者は、これに対する責任を取るのに躊躇したのではないだろうか。


 海外の案件で、日本の本社が海外の子会社の動向を完全に掌握するということは、大変なことである。子会社を管理するというのは、日本の子会社でもなかなか難しい。それが海外の子会社ということなので、さらに難しい。単純なことだが、言葉が十分に通じないという点で大きな違いがある。


 元々、英国の富士通の子会社は、ICLという会社を富士通が買収したことから始まっているようだ。社員はほとんどがICLの元社員で構成されていると考えていいはずだ。海外の子会社では、日本の本社側の意向をすんなりと聞いてくれるところは少ないと考えた方がいい。以前のICLの体質が残っている可能性もある。もちろん、日本からその会社に派遣された数人の人がいて、経営を担っており、きちんとコントロールしているはずなのだが。


 国が違うということは、文化も考え方も違うということなので、こういう問題が発生する可能性が高くなる。


 それにしても富士通は大変な問題を抱えてしまったものだ。





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