2020年8月27日木曜日

コロナウイルス対策でPCR検査を受けたら安心できる

 世田谷区の区長は、区民全員にPCR検査をすると言っている。多分、予算が絡むので区議会で議論されるのだろうが、その費用が4億円だとか。

世の中にはこのようにPCR検査を受けたら安心できると思っている人が多いようだ。

果たしてそうなのだろうか。

PCR検査を受けて、その結果が陰性、つまりコロナウイルスに感染していないと判定されたとしよう。それはその時点ではコロナウイルスに感染していなかったのだから、安心と言える。

しかし、その時点だけの話で、それ以降コロナウイルスに感染しないとは限らない。PCR検査を受けに出かけた時に、ひょっとしたらコロナウイルスをもらってきたかも知れない。あるいは、PCR検査をした2日後に外出した時にコロナウイルスに罹ったかも知れない。

つまり、PCR検査を受けて陰性と判明したからと言って、安心とは言えないのだ。だけど、一般的には今罹っていないということで安心するという気持ちになるのだろう。

もともと、PCR検査をやっても100%正確に判定されるわけではなく、罹っている人の7割が陽性と判定される。3割の人はコロナウイルスに罹っていても、陽性と判断されないのだ。

つまり、PCR検査を受けて陰性と判定されたとしても、ひょっとするとコロナウイルスに罹っている(陽性)かも知れない。

全数PCR検査を世田谷区を例にとってみると、その区民全員を一斉に検査できれば、その時点で陽性の人がはっきりと分かる。その陽性の人達をきちんと隔離すれば、その人たちからの感染は防げる。そうすれば、感染は収まるということだ。

この話にはいくつか問題がある。世田谷区民を全員一斉にPCR検査するというのは不可能に近い。検査を受けたくないという人もいるだろうし、病気で床についている人もいる。何らかの理由で検査場に出かけられない人もいるし、世田谷区民だが、北海道に行っているとか、海外に行っているという人もいるだろう。

検査機器の数や検査場所の数にも問題がある。一日でやり切るには相当数の検査器が必要だし、一日の中でも時間差が出てくる。時間差が出てくると、その検査時点では陰性でも、その一時間後には誰かからコロナウイルスをもらって陽性になる人もいるはずだ。大勢の集まる検査場で感染する可能性もある。

さらにPCR検査の精度が問題で、陽性者のうちの3割は検査から抜け落ちてしまう。実際に100人陽性者がいたとして、30人は陰性と判定される。その30人から感染する可能性は残っている。

つまり、PCR検査をうまくやっても、全陽性者を一斉に把握するということは無理ということだ。陽性者のうちの半数近くが抜け落ちる(陰性と判定される)可能性があるのだ。

現在の医療機関での対応は、この人はコロナウイルスに感染している可能性が高いなという人だけに、PCR検査をするというものだ。

これはインフルエンザと同じで、病院に来た人が風邪ですと言ってきたら、お医者さんがインフルエンザが普通の風邪かを判断して対応する。コロナウイルスでもこれとほぼ同じ対応なのだ。(ただし、今はコロナウイルスは第2種感染症に指定されているので、その為インフルエンザとは異なった特別な扱いを受けている。)

コロナウイルスでは、PCR検査をやるというのもあるが、CTがある場合にはCTで検査をするようだ。これなら、すぐに患者が肺炎になっているかどうか判定できる。PCR検査では結果が出るのに時間がかかる。海外ではCT検査器をおいている病院が少なく、それが感染を拡大している原因の一つだという話を聞いたことがある。日本の病院のレベルは海外に比較して高いのだ。

さて、とりあえず、PCR検査を受けて安心しますかね。

全国の昨日までの陽性者数、入院・治療等を要する者、重症者数、死亡者数の推移は以下のグラフで示されている。(東洋経済オンラインコロナウイルスサイトより)

これを見ると、陽性者数は減ってきているし、入院・治療を要する者、重症者も減ってきている。死亡者はまだはっきりと減ってきているというわけではないが、増加しているとは思えない。こういうグラフを見てコロナウイルスの状況を判断してもらいたいものだ。沖縄県のグラフを見ていると、沖縄県も大騒ぎする必要はないと思うのだが。


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