2020年4月21日火曜日

ヨーロッパで唯一国境封鎖をせずにコロナ対策を実施しているスエーデン

4月21日付のNature(オンライン記事)にスエーデンのコロナウィルス対策がでていた。国境封鎖も行わないし、外出禁止なども出されていない。

そういう制限は行わず、国民の自発的な「信頼に基づく」対応をとっている。高齢者には社会的な接触を避けるようにアドバイスし、自宅で仕事をし、手洗いの励行を推奨し、不要な旅行は避けるように勧めた。国境は開いたままだし、学校も授業が行われている。レストランやバーなども、そして多くの企業も普段のままだそうだ。

もちろん、こういう戦略に関しては、スエーデン国内でも批判があるようで、有名な科学者たちが政治家に厳格なコロナウィルス対応を求めた。老人ホームでの死亡者数が多いことや、全体的な死亡率が近隣の国に比較して高いことを指摘している。しかし、いまだにこの戦略は継続されている。

このコロナウィルス戦略は、公衆衛生局の疫学者、アンダーステグネル氏が指揮をとっている。Natureの記事は彼へのインタビューに基づいたものである。以下、私なりにそのインタビューを要約して紹介してみたい。

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スエーデンにおける緩やかな規制をかけるこの戦略は、他の国の戦略とそれほど変わりはない。感染者数や死亡者数のカーブを平坦にし、広がりを可能な限りゆっくりとさせるということは同じである。

コロナウィルスというのは、有効なワクチンが開発されるまで、根絶できる病気ではない。(従ってその考えに基づいた対策が必要だ)

スエーデンの法律では、伝染病に対する対応は、個人の責任で、自主的に行うとされている。これに基づくと、都市を閉鎖するという考えには行き着かない。法的に地理的な領域を封鎖するというのが許されていないのだ。

コロナウィルスのような病気に対して、科学的根拠に基づく戦略というのはないと思う。以前のもの(病気対策)がこうだったから、こうしないといけないという科学的根拠はない。

COVID-19は既にヨーロッパ全域に広がっており、国境を閉じるというのは馬鹿げている。むしろ、人々の国内の動きに注目するのが大事だ。

継続的に対策を実行しながら、日々その対策を改善していくことが必要である。

現在問題にしているのは、高齢者施設における老人の死亡だ。近隣の国に比べても死亡率が高いので、この対策を改善する必要がある。

こういうリラックスした対応をとっていても、他のヨーロッパの国とさほどさがあるとは思えない。どの国も結局拡散を防止できていない。

この時点で学校を閉鎖するのは意味がない。流行の早い段階で閉鎖するのは意味があったが。若い世代が活動を続けるのは、精神的にも肉体的な健康を持ち続けるのに役立つ。

この戦略が成功したかどうか。これは現在判断できない。各国とも「集団免疫」を
獲得するべくそれぞれの方法で対応している。集団免疫で問題になる再感染に関しては殆どない。(だから集団免疫で対応できる)

この戦略での今までの失敗は、介護施設での対応で、もっと徹底して制御した対応を採るべきだった。それに引き換えて、医療システムの崩壊は発生せず、先を読んだ対応体制ができている。

ということで、この戦略に満足している。COVID-19が高齢者に危険で悪い病気であることは承知している。ただ、パンデミックになるというのはこれより悪いシナリオだ。問題は病気ではなく、それの対応の仕方である。

更に言うなら、今年はインフルエンザとノロウィルスが減少しているデータが有る。これはコロナウィルス対策で、距離を取ることと、手洗いの励行を行ったことで減っていると考えられる。

Googleマップのデータから分かるように、スエーデン国内の人々の動きも、個人個人の自発的な対応で、劇的に落ちてきている。自主的な戦略が効果を出してきている。
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以上、スウェーデンのコロナウィルス対策の考えを要約してみた。

実際には、スウェーデンのコロナウィルスでの死亡者の割合は高い。しかし、他のヨーロッパの国と比較して格段に高いというわけではない。イタリアやスペインと比較すると低い。こうしたゆるい対策というのも、日本でも考えて見る必要があるのではないだろうか。

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